税理士が教える税金講座! 【第5回】フリーランスが納めるべき所得税以外の税金の種類について

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こんにちは、税理士の竹村直樹です。

第4回では、フリーランスの確定申告の注意点について説明しました。

第5回では確定フリーランスが納めるべき所得税以外の税金にはどんな種類があるのか説明したいと思います。

それでは早速確認してみましょう。

なお、ここでは、フリーランスの定義を中小企業庁が発行している『2017年小規模企業白書』で示された「特定の組織に属さず、常時従業員を雇用しておらず、事業者本人が技術や技能を提供することで成り立つ事業を営んでおり、自らが営んでいる事業が「フリーランス」であると認識している事業者」とします。

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目次

1.フリーランスにおける住民税

(1)住民税とは

住民税には法人が納める法人住民税と個人が納める個人住民税があります。フリーランスの方は個人事業者となりますので、個人住民税の納税義務者となります。
個人住民税は、都道府県が徴収する「個人都道府県民税」と市区町村が徴収する「個人市民税」に分かれますが、あわせて「個人住民税」と呼ばれています。

(2)申告方法

住民税の申告は単独で行うこともありますが、所得税の確定申告を行えば自動的に行ったことになります。

<提出先>
書面で提出する場合、確定申告書に住民税分の用紙が複写となっています。そのため、所得税の確定申告書の提出先と同じ場所、つまり税務署となります。

(3)注意点

確定申告には住民税独特の記載箇所があります。
確定申告書の住所記載の箇所の下欄に、翌年1月1日の住所地を記載する場所があります。
1月以降に引っ越しなどされた場合には、ここに1月1日現在の住所地を記載する必要があります。

(4)計算方法

個人住民税には、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と、所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」があります。

ここでは、「所得割」を中心に解説します。
所得割の計算はほぼ所得税の計算と同じで、フリーランスのような事業所得の場合、
「収入金額-必要経費」により所得金額を計算します。

この所得金額から所得控除を差し引いたものに税率を掛け、税額控除がある場合には控除して所得割金額を計算します。
「所得金額-所得控除」
この所得控除は、基礎控除や扶養控除等、所得税と同じ項目がありますが、金額がそれぞれ若干違います。

例えば、基礎控除について、所得税は38万円ですが住民税では33万円となっています。

税率は所得金額にかかわらず、フリーランスの事業で発生した所得に対しては他の所得と合算して一律10%となっています(分離課税を除く)。

所得割と均等割については、1月1日現在の住所地で課税されます。各区市町村が「個人区市町村民税」と「個人都民税」をあわせて徴収します。

(5)納付時期・納付方法

住民税の納付時期は、区市町村から送付される納税通知書を使用し、原則として6月・8月・10月・翌年1月の年4回に分けて、都道府県民税と市町村民税を合わせて納めます(普通徴収)。

2.フリーランスにおける事業税

(1)事業税とは

個人の方が営む事業のうち、法律で定められた事業(法定業種)に対してかかる税金で地方税(都道府県税)です。現在、法定業種は70の業種があり、ほとんどの事業が該当します。
事業は3つに区分され、それぞれ税率が定められています。

法定業種は次に挙げるものです。

区分税率事業の種類
第1種事業
(37業種)
5%物品販売業運送取扱業料理店業遊覧所業
保険業船舶定係場業飲食店業商品取引業
金銭貸付業倉庫業周旋業不動産売買業
物品貸付業駐車場業代理業広告業
不動産貸付業請負業仲立業興信所業
製造業印刷業問屋業案内業
電気供給業出版業両替業冠婚葬祭業
土石採取業写真業公衆浴場業(むし風呂等)
電気通信事業席貸業演劇興行業
運送業旅館業遊技場業
第2種事業
(3業種)
4%畜産業水産業薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5%医業公証人業設計監督者業講習浴場業(銭湯)
歯科医業弁理士業不動産鑑定業歯科衛生士業
薬剤師業税理士業デザイン業歯科技工士業
獣医業公認会計士業諸芸師匠業測量士業
弁護士業計理士業理容業土地家屋調査士業
司法書士業社会保険労務士業美容業海事代理士業
行政書士業コンサルタント業クリーニング業印刷製版業
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復装蹄師業
その他の医業に類する事業

(東京都主税局HPより)

ここで注目したいのは、フリーランスの職種としてイメージするデザイナーはデザイン業として定められていますが、プログラマー、システムエンジニア、ライターが定められていない点です。
そのためこれらの業種は事業税がかからないと考えられます。

ただし、仕事内容や契約内容によっては請負業と判断され、個人事業税が課税されてしまう場合があります。
この点について、個人が行う事業が「請負業」に該当する場合とは、次の4つにすべて該当する場合であるという見解もあります。(神奈川県HPより)


① 営業の範囲に属するものであること
② 資本的経営を行っていること
③ 仕事の計画及び遂行について独立性を有すること
④ 危険負担を有すること


上記の要件を具体的に確認すると以下のような事項になります。
① 営業の範囲に属するものであること
広く、広告宣伝活動を行い、仕事を受任しているか?
② 資本的経営を行っていること
機械・事務設備等を有しているか?
③ 仕事の計画及び遂行について独立性を有すること
自己の裁量で行うことができるか?
④ 危険負担を有すること
仕事が完成しなかった場合にも報酬がうけられるか?

例えば、データ入力作業をホームページなどで募集し、期日までに納品するような業務は請負業に該当することになるでしょう。
一方、発注先のプロジェクトに自分が持っているスキルを提供する形式で仕事を受任する場合などでは請負業に該当しないと考えられます。

このことを確認するための回答書が県税事務所などから送られてくることがあります。
回答に当たってはよく内容を確認し正確に回答しましょう。

(2)申告方法

確定申告書を提出することによって申告を行います。

(3)計算方法

青色申告者で、不動産所得がなく事業専従者がいない場合の事業税の計算方法は、以下のとおりです。

(事業所得+青色申告特別控除額-事業主控除)×税率

事業主控除とは年間290万円で、営業期間が1年未満の場合は月数按分します。また、繰越損失がある場合にも控除できます。
税率は前掲の表のとおりです。

(4)納付時期と納付方法

納付時期は原則として8月、11月の年2回です。送付される納税通知書を使用して各納期に納めます。
また口座振替やクレジットカードなどにより納めることも可能です。

3.フリーランスにおける消費税

消費税とは、事業者が国内において事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付、役務提供について課されます。
フリーランスの行うスキルの提供も役務の提供と考えられ、消費税が課されます。

ただし、納税義務となるのは、前々年の売上(課税売上高)が1,000万円を超えるような場合です。
通常、フリーランスとして独立したての1,2年目の方で売上が1,000万以下の場合は納める義務がありません。

まとめ

いかがでしょうか。
フリーランスにかかる税金は、所得税以外にもあることがお分かりになられたでしょうか?

特に事業税については、ご自身が行っている事業が、事業税の課税となる業種に該当するか慎重に判断する必要があります。
また確定申告を税理士さんに頼む場合にも、自身の仕事内容を正確に伝えるようにしましょう。

次回は最終回です。
フリーランスとして個人事業で続けていくか、会社組織にするかについて解説します。


※具体的な処理や手続きにつきましては、最寄りの税務署又は税理士にお尋ねください。
本記事により発生したいかなる損失も執筆者及び株式会社クラウドワークス並びに税理士法人高柳総合会計事務所は責任を負いません。

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この記事を書いた人

竹村直樹のアバター 竹村直樹 税理士

2009年 税理士登録
税理士法人 髙柳総合会計事務所の所属税理士として中小企業の決算・税務相談、会社代表者の相続・事業承継対策を中心に業務に携わる。
(社)ファルクラム租税法研究会研究員、(社)アコード租税総合研究所会員。

【主な著書等】
「墓地など嫌悪施設の存在により土地評価額に影響が生じる場合」税経通信72巻14号税務経理協会(2017)ほか。
共著
『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント-所得税裁判事例精選20-』(酒井克彦編著・監修、2018第一法規)

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