フリーランスの働き方として、海外に移住するという方法もあります。また、海外在住者でフリーランスで働いてみたいという人もいるでしょう。
この記事では、海外在住のフリーランスが仕事を獲得する方法や、税金回りの取扱いについて解説します。
海外在住フリーランスで働ける仕事の種類
海外在住のフリーランスが多く働いている仕事の種類や職種を紹介します。
基本的には日本で働く場合と大きく違いはありませんが、海外ならではの仕事で活躍するフリーランスも見られます。
エンジニア・プログラマー
開発に携わるエンジニアやプログラマーは、日本だけでなく海外でもフリーランスが多い職種です。成果ベースなのでリモートワークで完結できることが多く、居住地を問わず働けます。
その特性を活かして、海外各地を移動しながら、エンジニアやプログラマーとして活躍する人もいるほどです。
デザイナー
Webデザインやイラストデザインなどを手掛けるデザイナーも、フリーランスで活躍しやすい職種に挙げられます。
リモートで働ける仕事や案件ベースでの仕事が多いため、海外在住であっても日本の企業で働けるケースが多いです。
ライター
ライターの仕事は、場所を問わず働ける仕事のひとつです。クラウドソーシングなどを活用して案件ベースで働くこともできますし、企業の契約ライターとして活躍することもできます。
日本国内での現地取材が必要な案件でない限り、海外からも問題なく働けるでしょう。
通訳・翻訳
現地の語学力があれば、日本語を活かして通訳や翻訳の仕事もできます。
地域にもよりますが、通訳者や翻訳者はフリーランスとして働く人が多いです。
翻訳の場合は日本の企業から受ける案件が中心ですが、通訳の場合は、現地の斡旋会社に登録して随時依頼を受けるというやり方が一般的です。
日本語教師
語学力を活かした仕事には、日本語教師も選択肢となります。
フリーランスの場合には、教育機関での雇用と異なり、教師に関する資格が求められません。プライベートレッスンやオンライン教師として、日本語を教える仕事ができます。
海外在住フリーランスとして働くメリット・デメリット
フリーランスの働き方は、仕事時間を自由に決められること、成果に応じた収入が得られることが大きなメリットです。その中でも、海外在住フリーランスとして働くメリットやデメリットについて紹介します。
メリット1.スキルや視野が広がる
海外に出れば、日本では関係を持つきっかけのない世界的な企業や大型案件に携われる可能性があります。さらにスキルを磨いたり、新しい案件に果敢にチャレンジしたりなど、さまざまな経験が積めるでしょう。
また、海外のフリーランスとの人脈もでき、視野も大きく広がります。人間的にも、スキル的にも大きく成長できるチャンスがあります。
メリット2.物価が安い国での生活が可能
海外に移住してフリーランスで働く場合、物価の安い国を選べば生活費を抑えられます。
日本の案件であれば報酬は日本円で支払われるため、収入レベルは日本にいるときと変わりません。
お金に余裕を持て、生活レベルを上げたり、趣味により多くのお金を使ったりできます。
デメリットは孤独になりやすいこと
フリーランスのデメリットとして、仕事が一人で完結することも多く、孤独になりやすいことが挙げられます。
海外でフリーランスとなると、知人が周囲にいなければ、さらに人と関わる機会が少なくなるでしょう。日本にいるときよりも、辛く感じるかもしれません。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
海外でフリーランスの仕事を獲得する方法と注意点
海外でフリーランスの仕事を獲得する方法には、現地でフリーランスの案件を獲得する方法と、日本在住時と同じように日本の企業からフリーランス案件を獲得する方法があります。
それぞれの違いや注意点について解説します。
現地でフリーランス案件を探す
現地の求人やフリーランスプラットフォームを活用する方法です。多くは現地の企業と契約することになります。
現地で案件獲得するメリットは、案件数が豊富にありスキル次第で世界的な企業の案件に関われる可能性があることです。ただし、人脈やビジネス上のやり取りができる程度の語学力が求められます。
なお、通訳や日本語教師などは、オンラインの仕事でない限り、現地で案件を探す必要があるでしょう。
日本の企業と契約する
日本国内の企業がフルリモート可能として発注する案件なら、海外在住であっても問題なく働ける可能性が高いです。日本でフリーランスで働いていて海外移住を目指す人は、このケースが多いでしょう。海外在住の人も、リモートであれば日本企業の仕事ができます。
日本企業と契約して働く場合、業務上で言語の心配をせずに済むのが大きなメリットです。
ただし、企業との連絡は日本時間を考慮しなければなりません。リアルタイムのやりとりが発生する業務は生活リズムが安定しにくくなるため注意しましょう。
海外から日本のフリーランス案件を探すには、エージェントの利用がおすすめです。キャリアサポートが募集企業との間に入ってくれるので条件調整がしやすい、非公開案件が豊富などのメリットがあります。
現地の法律に注意
海外でフリーランスとして働くには、就労可能なビザが必要です。これから海外に移住してフリーランスになろうとしている人は、ビザや現地の法律について十分に確認しましょう。
すでに海外在住の方は、就労の扱いについて現地の規定を確認してください。
海外在住フリーランスの税金の取扱い
海外在住者がフリーランスで働く場合の税金の取扱いについて解説します。
海外で得た収入には日本の所得税はかからない
日本の所得税納税義務は、国内に生活の本拠を持つ居住者であるか、非居住者であるかによって課税範囲の取扱いが異なります。
居住者 | 【永住者】国内および国外において生じたすべての所得
【非永住者】国外源泉所得以外の所得および国外源泉所得で日本国内において支払われたもの、または国外から送金されたもの |
非居住者 | 国内源泉所得 |
海外在住のフリーランスの場合、日本の税法上では「非居住者」となり、海外で発生した収入に対して、日本での所得税納付義務は基本的にありません。現地での納税が必要です。
日本の企業と取引して日本円で報酬を受け取る場合にも、原則源泉徴収はされません。報酬を受け取る銀行口座が日本国内であっても、業務を行った場所で判断されます。
国内源泉所得にあたる場合に限り源泉徴収
非居住者のフリーランスであっても、日本国内で利益が生じる場合には、国外で発生した収入であっても国内源泉所得になり、源泉徴収されます。
フリーランスが関係する国内源泉所得となる収入には以下が挙げられます。
- ライター、デザイナーなどで国内で著作権使用料が発生すると考えられる業務
そのほか、国内で発生する所有不動産賃料や譲渡収入、配当・利子なども国内源泉所得にあたります。詳しくは、国税庁のWebサイトで確認しましょう。
なお、主要国家間では、二国間で発生する二重課税を防ぐ目的で「租税条約」が締結されています。租税条約は国内法よりも優先するため、「租税条約の届出書」を税務署に提出すれば、源泉所得税の免税・軽減が可能です。
現地での申告・納税は必要
海外で得た収入は、居住国での申告・納税が必要です。
課税基準期間や申告・納税時期は日本と異なるため、居住地の情報を確認し、漏れがないようにしましょう。
例えば、アメリカでは課税期間は暦年で申告・納税期限は翌年4月15日、イギリスでは課税期間は4月6日から4月5日で、申告・納税期限は課税年度が終了した翌年の1月31日です。
居住地が日本になる場合は確定申告を
なお、日本に住民票がある人やオフィスなど事業拠点となる恒久的施設を持つ人、日本出国から1年が経過していない人については、海外在住であっても居住地は日本と判定されます。
居住地が日本の場合は、日本で確定申告・納税が必要です。本人が国外で確定申告できない場合には、日本出国前に指定した納税管理人が、本人に代わり申告・納税を行います。
海外在住フリーランスの消費税は不課税
消費税が課税されるのは、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および外国貨物の引取り(輸入取引)」です。
海外在住フリーランスは海外から役務を提供する国外取引であるため、消費税は不課税になります。日本の企業に請求書を発行する際に、消費税の上乗せはできないので注意しましょう。
海外在住フリーランスとして活躍しよう
今やリモートワークやクラウドソーシングを活用すれば、世界各地でフリーランスとして活躍できます。現在日本でフリーランスで働く人はもちろん、海外在住でスキルを活用したいとお考えなら、海外在住フリーランスも選択肢のひとつです。
参照:海外在住でフリーランスとして働きたい人におすすめの職種を紹介した記事はこちら
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