新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、在宅で仕事を行う”テレワーク”を導入する企業が増えました。また、働き方改革の一環としてもテレワークの導入は大きく推進されています。しかし、テレワークの導入には持ち出し可能なノートパソコンの購入やセキュリティ対策、クラウドツールの検討など、初期費用や多くのコストがかかります。そのため、導入になかなか踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか。実はテレワークを導入することで、国や自治体から助成金や補助金を支給してもらえるのだとか。今回は、テレワークの導入時に活用できる助成金や補助金について、詳しく解説します。
テレワークを導入することで得られる助成金・補助金とは?
テレワークの助成金・補助金とは、テレワークを導入する企業に対して、関連経費の資金を提供するなどの金銭的な支援を行う制度です。目的は働き方改革の実現に対応するほか、自然災害や新型コロナウイルスなどの感染症の流行等、有事の際の備えにもなります。
ちなみに助成金は地方自治体や厚生労働省が交付を行うもので、補助金は地方自治体や経済産業省が交付するものです。どちらも返済義務はなく、要件を満たす事業所が受給の対象となります。
テレワーク助成金には様々な種類がありますが、対象地域や条件が種類によって異なるという点に注意が必要です。たとえば各都道府県が出している助成金・補助金の場合、その県外に拠点があると利用できません。この記事では、国が支給する助成金と東京都が支給する助成金を紹介します。
国と自治体でちがう?助成金の種類とは
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
概要
人材確保等支援助成金(テレワークコース)は厚生労働省が行っているもので、従来実施されていた「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」の後継となる制度です。テレワークを制度として導入することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善をはかる中小企業事業主を支援するのが目的です。
対象者
対象者は中小企業事業主(テレワークを新規に導入する事業主、及び試行的に導入している又は試行的に導入していた事業主)が対象です。
支給額
助成の項目は「機器等導入助成」と「目標達成助成」に分かれています。「機器等導入助成」は支給対象経費の30%を、「目標達成助成」は支給対象経費の20%(生産性要件を満たした場合は35%)が支給されます。ただし、両項目とも①100万円②20万円×対象労働者数のいずれか低い方の金額が上限額です。
助成の対象となる取り組み
① 就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
② 外部専門家によるコンサルティング
③ テレワーク用通信機器等(※)の導入・運用
※ 以下のテレワーク用サービス利用料も助成対象となります
- リモートアクセス及びリモートデスクトップサービス
- 仮想デスクトップサービス
- クラウドPBXサービス
- web会議等に用いるコミュニケーションサービス
- ウイルス対策及びエンドポイントセキュリティサービス
④ 労務管理担当者に対する研修
⑤ 労働者に対する研修
(出典:人材確保等支援助成金(テレワークコース)のご案内)
IT導入補助金2022(サービス等生産性向上IT導入支援事業)
概要
IT導入補助金は経済産業省が支援しているもので、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールの導入を支援する補助金です。通常枠(A・B類型)とセキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠の3つの型があり、テレワーク導入に関係する型は通常枠(A・B類型)となります。
対象者
対象者は中小企業と小規模事業者で、資本金・従業員数などには一定要件があります。
支給額
通常枠においては、A類型は補助額が30万〜150万円未満・B類型は補助額が150万〜450万円以下となります。また補助率は、A・B類型ともに1/2以内です。
支給の対象となるもの
ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費など、テレワークに必要なITツールの購入経費が補助の対象です。ただし対象となるITツールは、IT導入補助金のプラットフォーム上の「IT導入支援事業者・ITツール検索」に登録されているものに限ります。
テレワーク促進助成金(東京都)
概要
東京しごと財団が支援している事業で、都内事業所に所属の常時雇用する労働者を対象とした「一般コース」と非正規社員を対象とした「非正規社員拡充コース」があります。両方のコースを申請することはできず、どちらか一方を選んで申請します。
対象者
都内に本社または事業所をおく中堅・中小企業等(常時雇用する労働者が2人以上999人以下)で、都の実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」への登録(実績報告時まで)が要件となります。(両コース共通要件)
その他にも要件がありますので、詳細は募集要項を確認してください。
支給の対象となるもの・支給額
在宅勤務にかかる情報通信機器や業務関連ソフト等の導入によるテレワーク環境の整備に要した費用を助成します。上限金額は事業所規模により異なりますが、最大で250万円です。
過去実施されたテレワーク助成金 ※募集終了
職場意識改善助成金(テレワークコース)
職場意識改善助成金は、働き方改革推進支援助成金に名称変更を行い2020年4月から2020年8月まで受け付けられていたものです。厚生労働省が主導している、中小企業に対して行われる支援制度で、テレワーク用の通信機器導入や運用といった取り組みの実施が支給要件でした。助成金として交付される金額は最大300万円でした。
ふるさとテレワーク推進事業
平成27年から平成30年まで総務省が実施していた支援制度です。東京に集まっていた優秀な人材が地方に流れるようにすることで、地方の活性化、ワークライフバランスを最適化することを目的としたものです。助成金として交付される金額は3,000万円が上限でした(平成30年度)。
女性の活躍推進等職場環境整備助成金
平成30年から令和2年度まで東京都と東京しごと財団が実施していた、東京都限定の制度です。女性が働きやすい環境を作り、少子化への対策、労働力不足の解消が目的となっています。
制度は2つのコースに分けられており、1つ目が「女性の活躍推進コース」2つ目が「テレワーク活用推進コース」となっています。「テレワーク活用推進コース」については、女性だけでなく男性の職場にも適用されます。助成金の金額は各コース500万円が上限でした。
【参考】テレワークの相談ができる「テレワーク総合ポータルサイト」
テレワーク助成金や補助金には該当しませんが、テレワークの導入を検討する際に導入方法の相談や問い合わせができる「テレワーク総合ポータルサイト」があります。
これは厚生労働省と総務省が一体的に運用をしているもので、実際にテレワークを導入した企業の取り組み事例やテレワークに関わるコンサルティングの支援を行っています。テレワークの導入を検討する際には、まずこちらのサイトを活用するとよいでしょう。
まとめ
テレワーク導入にあたって助成金や補助金を活用すれば、コストをおさえることができます。助成金には応募・募集期限が定められていますので、もしテレワークの導入を検討しているのなら、早めに行動することをおすすめします。今後もテレワークの必要性は高まることが予想されるため、ぜひ自社にあった形でテレワークの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事
企業がリモートワーク・テレワークを導入するメリット・デメリット
フリーランスになるために必要な知識やスキルアップの方法等、様々なお役立ち情報を発信していきます。
(リモートワーク案件に強いフリーランスエージェント「クラウドワークス テック」を運営)