フリーランスになれば健康保険は変わり、年金は国民年金になります。天引きの源泉徴収、年末調整による還付などすべて会社任せというわけにはいきません。
しかしフリーランスになりたての頃や独立する前、ほとんどの方は売上を立てることや事業を継続することに頭がいっぱいで、税金のことをすっかり忘れている方が多いのではないでしょうか。
実はかくいう筆者がそのひとりでした。フリーランスとして事業を継続し、スキル上げるために経費を使っていましたが、年末にさしかかったあたりでふと気づきます。
「確定申告?納税?いついくら納めればいいんだ?」
この記事ではフリーランスが関わる税金について余すところなく解説します。ちなみに筆者は滞りなく確定申告と納税を終えることができましたが、正直なところもっと早く知っておきたかったと感じました。
筆者の二の舞にならないよう、ぜひこの記事を読んで知識を蓄えておいてくださいね。知っておけば恐くありません!
フリーランスにまつわる6つの税金
税金にはさまざまな種類がありますが、この記事ではフリーランスが納めるべき税金をお伝えします。具体的には以下の通りです。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険税
- 国民年金税
- 個人事業税
- 消費税
所得税は収入に大きくかかわる税金です
(概要)
所得税とは個人の所得に対して課される税金です。フリーランスの場合、毎年2月〜3月の確定申告で税額を申告して納付します。
(税率)
所得税の税率は課税される所得金額に応じて5%〜45%の7段階で定められています。所得金額に応じて税率が変わりますが、この記事で紹介している税金の中では額が最も大きく、ほとんどの事業者にとっては納税するメインの税金とも言えるものです。一般に納税額というとこの所得税を指します。
いったい自分がどのくらいの額の税金を納めるのか気になる方は、次の参考記事をご覧下さい。
参考記事:フリーエンジニアの税金 あなたはいったいいくら納めるの?
所得税のポイント:所得とは何か
さて、みなさんは所得とは何かご存じですか?フリーランスの手元に入ってくるお金について「売上」「収入」「所得」など一般にはさまざまな呼び方をするものの、収入と所得は意味が違います。
所得税の計算に使われるのは「所得」であり「収入」ではありませんから注意してください。
所得を理解する
収入と所得は意味が違うと書きましたが、具体的にはどのように違うでしょうか。
まず収入というのはフリーランスにとってはいわゆる「売上」のことで、年間売上が400万円であれば年収400万円となります。
所得はこの収入から経費を差し引いた金額のことで、1年間で400万円の売上を立てるために経費を100万円使えば所得は300万円です。
所得税に関わる源泉徴収とは
源泉徴収は給与所得などからあらかじめ税金を引いて納付する方法で、会社員時代を経験しているフリーランスにはおなじみのものでしょう。
会社員でなくとも源泉徴収から逃れることはありません。
というのも報酬を得る仕事の内容によって、源泉徴収されることとなっているためです。なお2016年5月時点で税率は10.21%(源泉徴収税率10%、復興特別消費税0.21%)です。
ちなみにライティングやデザインなどいくつかの業種において、源泉徴収をすることとなっています。
所得税の支払い・確定申告のポイント:源泉徴収とは所得税の前払い、返ってくることも
源泉徴収とは支払側を通じて行った納税ですから、税金を前払いしているのと同じです。そのため所得税が決まる確定申告の際には、源泉徴収によって支払っている税額も一緒に申告します。
最終的には源泉徴収分の税額を差し引いた金額を納税することになりますし、納めるべき所得税より源泉徴収の額が大きければ、差額は還付されます。
所得税を抑えるためのポイント
必要経費や各種控除を漏らさない!
所得は収入から必要経費や各種控除を差し引いたものですから、必要経費に漏れがあると所得金額が上がり、税額も上がります。
事業で使ったお金は必要経費ですから、堂々と経費としてあげておきましょう。
また生命保険料や地震保険料など生活に必要なお金には控除として認められるものがあります。多くの生命保険会社からは年末ごろ控除証明書が送られてくるはずですから、きちんとチェックしておきましょう。
なお必要経費については次の記事を参考になさってください。
参考記事:【必見記事】経費の知識がないフリーランスは想像以上に大損する!
青色申告のメリットを活用する
青色申告とは確定申告の方法のひとつで、税務署への申請と正規の複式簿記を行うことなどいくつかの条件を満たすことで行うことができます。
青色申告であれば、青色申告特別控除により65万円の控除が認められるため所得税の額を抑えることができるでしょう。さらに配偶者などへの給与の支払い額に制限がなくなる、赤字の繰り越しができるなどメリットが多いことが特徴です。
この方法を活かすことで所得税をおさえることもできます。
住民税は、地域を支えるための税金です
(概要)
住民税は市町村民税と道府県民税を合わせた総称のことです。フリーランスの場合は個人で納税しますが、会社員は会社が給与から天引きして納税します。また法人の場合は個人とは別に法人住民税も納める必要があります。
(税率)
住民税は「均等割」と「所得割」の2つを合算して求める税金です。
均等割は課税されるすべての住民が同じ金額を納め、平成35年度までは5,000円(市町村民3,500円、道府県民税1,500円)です。ただし自治体によっては環境の保全などを目的としてさらに追加しているところもあります。
所得割は所得金額に応じて課され、市町村民税は6%、道府県民税は4%です。ただしこれも自治体によって増減がありますから、お住まいの自治体の所得割の税率を確認してください。
国民健康保険税
(概要)
国民健康保険制度を支える保険料で、市町村が課している税金です。
(税率)
所得金額や加入する世帯人数などにより決められます。ただ同じ所得でも金額は市町村によってかなり異なりますので、各自治体のホームページなどを参照されてください。
国民年金税
(概要)
フリーランスが加入する公的年金で保険料を支払う義務があります。
(税率)
フリーランスは国民年金第1号被保険者の扱いとなり、保険料は前年の物価や賃金変動を考慮して決められ、平成28年は16,280円でした。納めた保険料は確定申告で控除されます。
個人事業税は、フリーランスならではの税金です
(概要)
個人事業税は事業所の所在地がある都道府県に納める税金で、公共サービスなどにあてられます。年間の所得金額が290万円を超えた段階で課税されるものです。開業1年目の場合は月割り計算です。個人事業税は申告の必要がなく、確定申告をすれば金額が算出されて送られてきます。
(税率)
事業内容によって3〜5%の税率が決められていますが、ほとんどの業種は5%です。上に書いたとおり290万円の控除があるため、税額はざっくりと「(収入—必要経費−290万円(控除))×税率」で求められます。
消費税は、買い物やサービス利用等に関わる税金です
(概要)
税務署に消費税を納付する必要があるのは2年前の課税売上高や1年前の1月1日〜6月末までの課税売上高が1,000万円を超えている場合です。これらに該当しなければ納税義務は免除されます。
(税率)
計算方法には簡易課税と本則課税の2種類がありますが、原則としては本則課税が用いられます。これは預かった消費税額と支払った消費税額の差額を税務署に納付する方法です。
税金の仕組みを知っておくことはとても大切
税金について解説しましたが、収入や所得を算出根拠とする税金がほとんどな事に気づかれましたか?
所得税を押さえるポイントを知らずに確定申告をすれば、所得税だけでなくあらゆる税金の額が上がり、ひどい場合には納税や保険料の支払いのために本業の経費に支障が出ることになります。
また個人事業税などなじみの薄い税金の納付を忘れてしまうことで資金計画に支障が出る可能性もあります。これも税金の知識をおさえておけば、あらかじめお金の準備と納税の心の準備をとることができ、余裕を持って本業に専念できるでしょう。
税金の知識はフリーランスにとって必須ですね。
まとめ
フリーランスにまつわる税金の説明はいかがでしたか?たくさん支払わないといけないと感じた方もいらっしゃるでしょうか。
しかしこれらの税金のほとんどは会社員時代も支払っており、給与天引きからフリーランスとして自分で管理することになっただけ。
これまでと異なる点は、収入はすべて自分のお金ではなく、その中から税金などを支払う必要がある点ですね。
この記事を読み返して頂ければ税金の基礎知識は完璧なはずです。個人事業主として税金の管理も頑張りましょう!
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