フリーランスが青色申告をやってみた〜白色申告との違いとメリット
みなさんは確定申告の方式は白色ですか?青色ですか?
フリーランスなら一度は耳にしたことがある青色申告について、みなさんはちゃんとご存知でしょうか。青色申告はめんどくさい、手続きが大変と考えていらっしゃる方もいるようですが、受けられる恩恵も多く、さらに今は会計ソフトなどを利用すれば青色申告は決して難しいことではありません。
この記事では確定申告の方式である青色申告について解説します。
目次
青色申告と白色申告の違い
さて、日本では納税に際して自分で税額を計算して申告する方式がとられています。この申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、すべての事業者はどちらかの方式で納税しています。皆さんは今どちらをつかっていますか?
青色申告と白色申告の違いはいくつかありますが、要点をまとめると以下の通りです。
- 正規の複式簿記で帳簿をつける(簡易簿記の場合は控除額が減額)
- 特別控除が受けられる
- 事前に税務署に届け出をする必要がある
- 決算書として貸借対照表と損益計算書を作成する
- 専従者への支払額が無制限(ただし届け出が必要で源泉徴収すること)
- 赤字や減価償却の特例が受けられる
ちなみに白色申告の場合、記帳は簡易で構いませんし、税務署に届け出も必要ありません。決算書の作成も不要です。
そのため青色申告はとても面倒だと考えられがちですが、それ以上に素晴らしいメリットがあるからこそ青色申告はおすすめされることが多いものです。ではそのメリットを見てみましょう。
青色申告をすべきフリーランスとは
青色申告にしてメリットを享受するとしても、申告に伴う作業がメリットよりも繁雑で時間がかかりすぎてしまっては意味がありません。
しかし青色申告は専業フリーランスであればぜひやるべきだと考えられます。というのも、特別控除65万円がとても大きいこと、売上の増加を目指している以上は必ず青色申告するべき状態になるからです。
下に記載しましたが、売上300万円程度であっても数万円の税額が変わり、さらに赤字の繰り越しなどメリットが多い青色申告ですから、すべてのフリーランスにおすすめだと考えられます。
青色申告の3つのメリット+α
青色申告は一見面倒ではあるのですが、それを上回るメリットがありますのでご紹介します。なお以下の項目は次に挙げた参考サイトの情報をもとに作成しました。
参考元:国税庁:No.2070 青色申告制度
特別控除が65万円!見逃せないメリット
青色申告を行うと65万円の控除が受けられます。これは青色申告特別控除と呼ばれ65万円の控除が受けられます。
65万円の控除は決して小さな額ではありません。65万円というと単純に毎月5万円以上の経費を使っているのと同じ事です。特に経費をあまり使わない業種であれば特にこの金額の大きさが実感できるでしょう。
青色申告特別控除で税率が変わる!?
所得税の額は本ブログでもご紹介していますが、65万円の控除により税率が変わることも少なくありません。
参考:フリーエンジニアの税金 あなたはいったいいくら納めるの?
例えば課税売上高350万円のフリーエンジニアの場合、所得税の税率は20%で控除額は427,500円です。よって所得税額は350万円×0.2-475,000円=225,000円です。
しかし青色申告特別控除を受けている場合、65万円の控除があります。よって課税売上高は285万円となるため、税率は10%で控除額は97,500円です。所得税額を計算すると285万円×0.1-97,500円=187,500円となります。
およそ37,500円、税金が小さくなりました。確定申告の季節にこの金額の出費が抑えられることは決して小さな金額とは言えないと思います。
赤字や減価償却を繰り越せる
事業の推移によっては赤字決算になるかも知れません。赤字の場合でも青色申告では確定申告を行うことで、赤字を3年間繰り越すことが可能です。
翌年に繰り越すというのは具体的には以下のような流れになります。
<2015年度は80万円の赤字>
80万円の赤字として確定申告を行う。
<2016年度は200万円の黒字>
200万円-80万円=120万円として確定申告できる。
つまり、2015年度の赤字80万円分を翌年に繰り越して年間の利益を120万円にできます。
200万円の利益が120万円に圧縮されるため、その分税額も少なくなり税金の負担は小さくなりますね。
青色事業専従者給与〜人手が足りないからお給料を払いたい
青色申告ではこのような生計を一緒にしている配偶者や親族に対して、その事業に専従しており適正な範囲の金額であれば必要経費として給与の支払いが認められています。
白色申告でもこのような給与の支払いは認められているものの金額に制限がありますが、青色申告の場合は適正な額であれば金額の制限がありません。
ちなみに白色申告における専従者給与の制限は、配偶者は年間86万円・それ以外は50万円で、配偶者でなければ月間4万円程度の支払にとどまってしまいます。それ以上の額を支払いたい場合には青色申告は必須ですね。
ちなみに青色申告事業専従者給与の支払については青色申告とは別に届け出が必要です。
その他のメリット
その他にも30万円未満の資産を取得した場合は一度に経費にできるなどいくつもメリットがあります。
【実録】青色申告で税金を申告するために必要な手続き
青色申告を行うためには税務署に手続きが必要です。実際に筆者はこの手続きを行いましたので、実体験をもとにご説明します。
国税庁のホームページから届出書を入手する
青色申告には届出書<所得税の青色申告承認申請書が必要です。これは国税庁のホームページにPDFで保管されていますので、ダウンロードして印刷しました。
記載内容は届出書の指示通りに記載すれば良いのですが、65万円の特別控除を受けるためには簿記方式が「複式簿記」である必要があるので、ここは気をつけて下さい。
備え付け帳簿名は現在使っている帳簿に◯をつけていきます。
青色申告の開始を申請するポイント:控えは自分で用意しておくこと
届け出する場合は原本を税務署に提出するため、手元には控えが残りません。そこで私は同じ記述内容の届出書を2枚用意しました。税務署に2枚とも持参すると一方を原本として提出して、もう一方は控えのハンコを押してくれます。これで提出したものが手元に残ることとなります。
税務署に書類を提出する
届出書を持ったら税務署を開庁時間に訪れて提出します。特に何もなく、記載内容に漏れや不備がないかざっと確認していただいて終わりました。税務署に滞在した時間は5分ほどです。
かなりあっけなく終わった感じがしますが、手続きに面倒を感じる必要はほとんどありませんよ。
青色申告に備えて会計ソフトを利用しました
ここまで筆者が青色申告を開始するまでの手続き体験を書きましたが、手続きのあとは正規の複式簿記による記帳などを行います。ここが難関だと考える方は多いと思います。筆者の場合はどのように行ったでしょうか。
青色申告で正規の複式簿記を発生主義で記帳するには、ノートへの記帳では心もとありません。そこで会計ソフトを導入して記帳を開始しました。
会計ソフトにはいくつも種類がありますが、フリーランスの場合は個人事業主向けの青色申告対応をうたっているソフトを使えば問題ないでしょう。
会計ソフトの多くは青色申告に対応する記帳ができるようにさまざまな機能で対応します。申告書類や決算書の作成が自動化されることは大きなメリットです。
これまで確定申告を行ったことがある方なら無理なく会計ソフトに移行できると思いますので、ぜひチャレンジなさってください。
青色申告で確実な記帳と確かな納税!
確定申告には白色申告と青色申告がありますが、青色申告は享受できるメリットが多いのでとてもおすすめです。特に経費があまりかからない業種であれば、青色申告特別控除や青色事業専従者給与の支払は見逃せません。
筆者が実際に体験したとおり、青色申告開始の申請は難しいものではありませんでしたし、正規の複式簿記も会計ソフトの力を借りることでスムーズです。
みなさんはスムーズに確定申告していますか?もし確定申告のことで悩み、手続きが複雑だと感じてなんとなく白色申告をしているのであれば、それはもったいないことです。これを機に青色申告について学んでみてくださいね。
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