フリーランスは年金や国民健康保険料を自分で支払わなければなりませんが、始めたばかりの人はその額に驚くかもしれません。特に今までは企業が半分負担してくれていた健康保険などを「全額支払わなければならない」という現実に、支払い続けられるか不安がよぎるというのはよく聞く話です。
また、自分一人で仕事を行うのが一般的なフリーランスは、ケガや病気による休業をしても、保障を得られにくい傾向にあります。独り身であればまだいいですが、扶養家族がいる場合はその不安は大きいことでしょう。そんなフリーランスの不安感を少しでも軽減するために、フリーランスが加入できる「組合」があります。その恩恵を賢く受けるためにも、各種組合の仕組みや加入することで得られる安心や保障についてチェックしてみましょう。
フリーランスの健康保険料が高く感じる理由
市町村によりその金額には差異があるものの、国民健康保険に加入した場合、保険料は自身の所得によって決まります。つまり、事業が軌道にのり、所得が上がれば上がるほど、保険料もどんどん増額されていきます。
元々会社員であれば健康保険の一部を会社が負担してくれていますが、フリーランスになれば保険料は全額負担です。そのため、フリーランスになった瞬間に保険料は倍増することになります。しかし国民健康保険の代わりに各種「組合」に所属すれば、その負担を軽減できる可能性があります。フリーランスでも加入できる各種組合の仕組みを知って、上手に利用するのが得策です。
ただし、国民健康保険が全て損をする訳ではありません。極端に所得が下がり、前年の所得が維持できなくなった場合、保険料の軽減・減免の対象となることも。お住まいの市町村の窓口で、保険料の相談しましょう。所得によって保険料が決定する仕組みである国民健康保険ならではの取り組みなので、事業が軌道に乗るまでは、あえて国民健康保険を選択するのも一つの選択といえます。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
WEBデザイナーやイラストレーターなら「文芸美術健康保険組合」
WEBデザインやイラスト制作などを生業としてフリーランス活動をしているのであれば、文芸美術健康保険組合という組合に加入できる可能性があります。これは個人事業主を対象に加盟団体の会員の健康保険料などをカバーしてくれる組合であり、保険料は収入に関わらず一定金額です。
加入するためには条件があり、文芸美術健康保険組合に加盟している各種団体の会員になる必要があります。例えばイラストレーターであれば「日本イラストレーター協会」の会員になることで文芸美術健康保険組合の組合員にもなることも。
加盟団体の会員になるためには、一定の会費や加入金が必要になりますが、団体に加盟することで受けられる恩恵は多いにあります。例えば資格取得のためのセミナーが割引または無料で受けられたり、会員に対し業務の斡旋や仲介を行ったりといった、今後、活躍の場を広げるための各種助成があります。一定以上の収入があり、更に業務を充実させたい人には加入を検討する価値があるものだといえるでしょう。(ただし支援活動の内容は加盟団体により差異がありますので、自分の該当する協会が複数ある場合は十分に吟味してください。)
エンジニア関連業なら「全国ソフトウェア協同組合連合会」
エンジニア業では個人で加入できる健康保険団体は今のところありません。しかし、先ほどの日本イラストレーター協会のような同業者組合には属しておいた方がよいこともあります。その理由としては「案件の紹介や自己啓発費用、各種セミナーなどの助成」といった、個人では出会うことのできなかった人脈を作れたり、成長を手助けしてくれたりと様々なメリットがあるからです。
エンジニア向けの同業者組合には「全国ソフトウェア協同組合連合会(JASPA)」があり、全国にわたり20以上の組合が加盟しています。まずは全国ソフトウェア協同組合連合会のサイトから、地域のソフトウェア協同組合のサイトや活動内容を比較して、自身の条件に合った団体へ加入を検討してみましょう。
なお、法人化を検討しているのであれば、「東京都情報サービス産業健康保険組合」のような各地域に所在する保険組合に属することができますので、併せて視野に入れるとよいでしょう。
休業補償なら「商工会議所」の会員も検討しよう
商工会議所は地域の個人事業主や中小企業を中心としてその地域の活性化を助成する団体ですが、事業内容の中には会員だけが加入できる休業補償制度があります。個人事業主として心配なのは「急なケガや病気になった場合の収入はどうするのか」ということが一番でしょうが、休業補償プランの補償内容や保険料は取扱保険会社によって異なりますので、一度資料を確認してみるとよいでしょう。
もちろん単に休業補償を受けるためだけに商工会議所に加入するよりも、商工会議所の会員限定セミナーなどに参加する、事務所拡大のための融資相談など、様々な経営支援を受けることをおすすめします。
組合に加入することで様々な人脈と保障が受けられる
上記では健康保険料の軽減と各種組合に所属するメリットについて注目してきましたが、健康保険組合には様々な福利厚生を提示しているケースが多くあります。
例えば人間ドックの斡旋に始まり、提携フィットネスの割引や提携保養施設の優待などが代表的な福利厚生制度です。これは単にお得に利用して欲しいという訳ではなく、心身のリフレッシュを通して、健康にいつまでも第一線で活躍して欲しいという加入者に対する思いもあります。
また、同業者団体に加入することで、仕事のパートナーを見つけ、新たなクライアントに出会える可能性もありますので、「業務が軌道に乗ったら組合加入を検討する」ということを頭の片隅においておくくといいかもしれません。
参照:フリーランスの悩みの種である健康保険についての記事はこちら!
フリーランスになるために必要な知識やスキルアップの方法等、様々なお役立ち情報を発信していきます。
(リモートワーク案件に強いフリーランスエージェント「クラウドワークス テック」を運営)