あまり大々的には報道されることは少ないですが、日本でも毎月のように企業の「脱税」が摘発されています。脱税は、企業ではないフリーランスでも起き得ることをごぞんじですか?個人であれ法人であれ、事業から収入を得ていれば納税の義務が発生します。税務署の調査が入ってから、「知らなかった」では済まされません。しっかりとした知識を持っていないと、意図せず脱税してしまう可能性もあります。ここで脱税について、正しい知識を身につけておきましょう。
この記事では、これからフリーランスを目指す方のために、フリーランスが注意するべき脱税について説明していきます。また、すでにフリーランスとして働いている方のために、脱税をしないためにやっておくべきこと、もし脱税だと判断されてしまった時の対処法についてもお伝えしていきます。
そもそも脱税ってどういうこと?
脱税とは、所得を少なく見せかけたり、なかったことにしたりすることによって税金の支払いを逃れることです。支払う税金の額は、所得が増えると増加するため、所得を少なくすることで税金も少なくしようというわけです。もちろん、これは適切に会計処理が行われているのであれば「合法」です。しかし、不正な会計処理、または隠蔽により所得を操作することは「違法」です。発覚すれば、すぐさま脱税となってしまいます。
ごぞんじの通り、一定以上の収入があるフリーランスには確定申告の義務があります。確定申告は、所得を申告して所得税を納める手続きです。所得は、住民税などの他の税金の計算にも使われます。もし、確定申告を忘れたり、申告した金額が少なかったりすると、本来納めるはずの税金よりも少なくなり、脱税となってしまいます。日本の納税制度は、自己申告制となっているため、確定申告を正しく行い、正確な税金を納めるのはフリーランスの責任なのです。
もし、意図的でないにせよ脱税をしてしまうと、税務署から税務調査がやってきます。あなたの帳簿や領収書、口座など、お金の流れをすべて調べられます。しかも、その年だけではなく、2,3年はさかのぼって調査されます。任意調査とはいえ、基本的には拒否することはできません。仮に拒否したとしても、別のルートから調べがつくため、脱税を隠すことは不可能です。
それでは、もし万が一、脱税だと判断されると、どんな罰則が待っているのでしょうか?
脱税すると、こんなに怖い罰則がある!
もし、確定申告をしていないと「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられます。また、単純に忘れたのではなく、故意に申告しなかったと判断された場合は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金または、その両方」という、厳しい罰則が課せられます。
さらに、上記の罰則に加え、下記の追加課税も課せられます。
無申告加算税
3月15日までに確定申告をしなかった場合、本来納めるべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分については20%の無申告加算税が課せられます。ただし、税務調査前に自己申告した場合には、5%になります。なお、税務調査の事前通知後に申告した場合には、50万円までは10%、50万円を超える部分については15%、となります。忘れていると気づいたら、すぐに申告するべきでしょう。
延滞税
3月15日までに税金を納められなかった場合、延滞税が課せられます。延滞税の税率は年によって異なるため、国税局のホームページで確認してください。納付期限日の翌日から納付日までの利息が課せられるため、早く納めたほうが余計なお金を支払わずに済みます。
過少申告税
申告ミスや税務調査で過少申告を指摘された場合、過少申告税が課せられます。増えた分の税金について10%の税金が課せられます。なお、元々の申告納税額もしくは50万円のいずれか高い方を超えている部分については15%の税金が課せられます。
重加算税
明らかに意図的な脱税が認められる場合、重加算税が課せられます。これは過少申告の場合でも35%、無申告の場合は40%もの追加課税が行われます。この中でも、最も重い罰則になります。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
フリーランスはどういった場合に脱税だと判断されるの?
それでは、フリーランスはどういった場合に脱税だと判断されるのでしょうか?次に、よくあるパターンを紹介します。
確定申告を忘れていた場合
フリーランスの方は、確定申告を忘れてしまうこともちらほら。すぐに気付ければいいのですが、そのまま忘れたままになっていることもしばしば。また、フリーランスになったばかりの方は、税金の知識がないと確定申告そのものを知らない場合もあります。知らなかったからといって済ませられるものではないため、放置していると後で税務調査が入って泣きを見ることになるでしょう。
不適切な経費の計上がある場合
フリーランスとして仕事をしていると、プライベートと仕事の境界が曖昧になりがちです。そのため、本来経費としては認められないものを経費として計上してしまうこともあります。少額であっても年間を通して何年も続けていると、結構な金額になります。税務調査が入って指摘されると、2,3年分の追加課税が課せられてしまうでしょう。
所得の申告漏れがある場合
本来所得として計上するべきものを、うっかりわすれてしまうと本来の所得よりも少なくなってしまいます。バレないと思いがちですが、税務署の方はあの手この手であなたの収入を調べ上げます。調べられたら、まず隠し通すことはできません。
以上の理由などで、万が一税務調査が入る場合には、事前に連絡があります。拒否することなく、素直に調査に協力しましょう。拒否すれば事態はさらに悪化します。帳簿や領収書、通帳などを用意してほしいと言われますので、必要な書類を調査当日までに揃えておきましょう。どうしても不安な方は、税理士の方に立ち会ってもらうことをおすすめします。
フリーランスが脱税をしないためにやっておくべきこと
最後に、フリーランスがうっかり脱税をしてしまわないためにやっておくべきことを説明します。しっかりと対策を行っておきましょう。
事業用とプライベートの口座を分ける
銀行口座は、事業用とプライベート用で分けておきましょう。ごっちゃになっていると、会計処理の際にミスが起きやすくなります。税務調査時に、マイナスイメージになるともいわれています。また、クレジットカードにおいても事業用とプライベート用で分けておきましょう。そうしておけば、経費計上も楽になります。
確定申告ソフトを使う
確定申告ソフトを使って、毎月しっかりと記帳をしましょう。確定申告ソフトは、記帳を楽にしてくれますし、ミスも減らしてくれます。毎月記帳していれば、確定申告を忘れることもないでしょう。確定申告ソフトなら、確定申告書類の作成も簡単です。
正しい会計の知識を学ぶ
どんなものを所得として扱い、なにを経費として計上してもいいのかは、正しい会計知識がないことには判断できません。確定申告の書籍はいくつもありますので、独学で勉強してみましょう。また、青色申告の申請をすると、税務署から無料の確定申告セミナーを受けられます。会計の知識も学べるため、ぜひおすすめしたいセミナーです。
まとめ
脱税についてお分かりになりましたか?脱税は、フリーランスにとって無関係なものではなく、脱税だと判断されると厳しい罰則が与えられます。脱税だと判断されないためにも、日頃から正しい会計処理を行っておきましょう。すでに帳簿を付けている方は、不正な会計処理をしていないか、ここで一度見直しておきましょう。正しい処理を行っていれば、税務調査が入っても心配することはありません。胸を張って対応しましょう。あなたは税務調査が来ても安心していられますか?
参照:フリーランスの確定申告基礎知識から申請手順までを解説した記事はこちら
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