フリーランスという働き方を選んだ以上、確定申告を避けることはできません。納税の義務は言うまでもなく、故意の無申告は犯罪でさまざまなペナルティーが科されることとなります。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、青色申告は申請が必要で、帳簿の付け方なども煩雑です。そのためフリーランスになって間もない方のほとんどは白色申告となります。
この記事ではフリーランスのための白色申告の方法を解説します。
確定申告のためにどんな準備をすれば良いのか、実際の申告はどのように行うのかなど、皆さんが気になる情報が満載です。ぜひご覧下さい。
確定申告とは何か
確定申告とは何か、皆さんはきちんと理解していますか?大切なこととはわかっているけど、いったい何をすれば良いのか、どうなるのかイマイチわからないという方が多いかも知れません。
確定申告とは、1年間の事業活動で得た収入から所得を計算し、自分の納税額を確定させて申告する手続きです。つまり自分が納めるべき所得税は自分で計算して納税することとなります。
したがって確定申告に誤りがある場合はいわゆる申告漏れとなるため、きちんと遂行する必要がありますね。
確定申告の種類〜白色申告と青色申告
確定申告には白色申告と青色申告があります。フリーランスになりたての方や特に青色申告の手続きを踏んでいない方は、白色申告です。
というのも青色申告するためには税務署にて「所得税の青色申告承認申請手続」を行う必要があり、これは毎年3月15日まで、または事業開始後の2ヶ月以内に手続きをする必要があるため、フリーランスになりたての方で青色申告から始める方はあまりいないと考えるのが自然です。
青色申告は65万円の青色申告特別控除や赤字の繰り越し、減価償却の特例などいくつかメリットがありますが、正規の複式簿記で発生主義によって記帳するなど、日々の経理の仕事が煩雑になります。
白色申告は青色申告に比べて、帳簿づけは単式簿記で良く、さらに簡易方式で記載ができることなどから経理の仕事に慣れていない方にとって取り組みやすい確定申告の方法でしょう。
所得の考え方〜白色申告で押さえておきたいポイント
確定申告の方法を問わず、所得の考え方を抑えておくことはとても大切です。
確定申告では所得を計算して、ここから納税額が決まります。では「所得」とは何でしょうか?
いわゆる売上(収入)から必要経費を差し引いたもの、これが所得です。つまり確定申告で所得を申告するためには、自分の収入と必要経費をきちんと把握して計算する必要があります。
よって、白色申告を行う場合はこの収入と必要経費の計算がきちんとできるように帳簿をつけ、確定申告の書類に記入することが最も重要な作業です。
控除〜必要経費と同じくらい大切です
必要経費と並んで重要なものが「控除」です。控除は必要経費のように所得を計算するときに収入から差し引くことができるお金で、これもいろいろな種類があります。
代表的なものは生命保険料や国民健康保険料、10万円を超えた範囲の医療費などがあります。また誰でも受けられる基礎控除として38万円が設定されています。
確定申告の書類作成の際、きちんと書類に記入して計算していけば問題なく控除できますが、国民健康保険料の納付状況を自分で把握しておく必要がありますし、生命保険会社から送られてくる控除証明書なども必要になります。気をつけておきましょう。
実際に白色申告をやってみましょう!
では、記事の中で今から白色申告を行うとしてどのような手順を踏めば良いのか、ひとつずつ解説します。
通帳や請求書など、収入の証拠になるものを揃える
事業で得た収入を計算するため、通帳などをすべて揃えます。なお個人事業主の場合、事業年度は1月から12月までですから、前年の分などは必要ありません。(ただし青色申告で発生主義の記帳をしている場合は必要となります。この記事では割愛します)
領収書やレシートを集める〜必要経費なるものを洗い出す
まず経費や仕入れとして使ったお金の領収書やレシートを集めます。上にも書いたように収入から必要経費を引いたものが所得ですから、漏れがないように集めましょう。
経費を仕訳する
経費の記録が出そろったら、これらを仕訳します。水道光熱費、車両費など科目を決めて仕訳をすることとなりますが、国税庁ホームページには白色申告者のための帳簿のひな形を用意しており、このひな形によると科目は次のように分かれています。
- 給料賃金
- 外注工賃
- 減価償却費
- 貸倒金
- 地代家賃
- 利子割引料
- その他の経費(租税公課、水道光熱費、旅費交通費、通信費、修繕費、消耗品費、雑費)
経費仕訳の方法がわからない場合、確定申告書類への記入のことを考えてこれらの科目にしたがって分ける良いでしょう。
参照:国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
事業と家事の按分率を決める
フリーランスは個人事業主のため、家事と事業の両方で使っているものがあると思います。
例えば自宅兼事務所で仕事をしている場合、家賃には必要経費と生活費が混在している状態です。水道光熱費やインターネット接続費なども同様でしょう。
よって、家事で利用している割合と事業で使用している割合=按分率を決めます。家賃の場合は仕事で使う部分の面積で割り出すなど,何らかの根拠があると良いと思います。
帳簿に記載していく
これで帳簿をつける準備が整いました。収入や使った経費を帳簿に記入していきます。
なお帳簿には取引年月日・取引先・取引内容・金額を記載します。経費は費用ごとにわけましょう。
1年間の収入や経費の内容ごとの金額が算出できるようにしておいてください。
白色申告も帳簿をつけないといけません
以前は白色申告であれば帳簿をつける必要はないとされていましたが、平成26年1月からは帳簿の記帳と保存が義務化されているので気をつけてくださいね。
確定申告書類を入手する〜ダウンロードして印刷できます
実際に確定申告時期が近づいてくると確定申告書類を入手します。確定申告磁気になると国税庁のホームページなどで確定申告特集などと題したコーナーが設けられ、ここで確定申告書類のダウンロードが可能になります。
なお確定申告の書類は自分で印刷したもので構いませんので、プリンタがない場合などはコンビニのネットワーク印刷などを上手く活用したいところですね。
印刷したものを紙で入手したい場合は税務署や各地に設置される確定申告相談コーナーで入手できますが、窓口の受付時間などに注意が必要です。
また印刷ができず、窓口で申告書類を受け取るのが困難な場合は取り寄せることもできます。この場合は送付して欲しい申告書の種類と部数、申告内容などを明記した上で、自宅の住所を明記して送付料金分の切手を貼った返信用封筒を税務署に送って取り寄せることになります。
白色申告で使用する書類
確定申告書類は申告内容に応じていくつか種類がありますが、白色申告で提出する書類は以下の通りです。
- 確定申告書B
- 収支内訳書
確定申告書類に記入する〜控えが欲しい場合は2部用意する
帳簿を参照して確定申告書Bと収支内訳書に記入します。
控えを取っておきたい場合は控え用に同じ書類を2つ作成することをおすすめします。税務署で提出する場合、申し出ると一方の書類には控えのはんこを押してもらえます。
確定申告書類と必要な証明書を揃えて税務署に提出する
提出は確定申告の受付期間に行います。提出方法は窓口への持参、郵送、税務署の専用ポストへの投函など意外と多いです。出張所や確定申告コーナーが設けられていることもありますので、ここで提出することもできます。
確定申告は準備しておけば難しくありません!
確定申告の実際の流れはいかがでしたか?領収書を集めたり、帳簿を作成したりといったように作業は一見大変ですが、1度やってしまえば同じ作業を繰り返すだけなので難しいことはありません。
確定申告書類の提出も2月中であれば税務署はそれほど混雑せず、スムーズでしょう。ちなみに筆者の場合、確定申告は毎年初日の午前中に行い、数分で済ませてしまいます。事前の準備がおすすめです。
確定申告の準備はできそうですか?とにかく、大変なのは最初の1回、準備が整うまでですから、早めにトライしてくださいね。
参照:フリーランスが行うべきインボイス制度への対策について解説した記事はこちら
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