クラウドソーシングをどう使う?
クラウドソーシングとは、群衆(crowd)と業務委託(sourcing)を組み合わせた言葉で、インターネットを使って不特定多数の個人や企業がつながり、仕事の受発注を行う仕組みのことです。国内には現在、複数のクラウドソーシングサイト運営者(仲介業者)が存在し、業務を外注したい企業と、仕事を請け負いたい人がマッチングする手助けをしています。クラウドソーシングによって今までつながることのなかった企業と個人が結びつき、それぞれのニーズにあった仕事の受発注が可能になりました。クラウドソーシングサイトで募集されている仕事は多岐にわたりますが、たとえば以下のようなものがあります。
<IT関連>
- システム開発
- ホームページ制作、Webデザイン
- ECサイトやネットショップ構築
- アプリ開発
- ハードウェア設計と開発
- サーバー構築など
<Webデザイン関連>
- ホームページ作成
- バナー作成
- LP作成など
<その他のデザイン関連>
- ロゴ作成
- イラスト作成
- キャラクター、スタンプのデザイン・作成
- チラシ、DTP、看板作成
- 名刺、パンフレット作成など
<執筆関連>
- ブログ記事やホームページに掲載する文章・コンテンツ作成
- 書籍や雑誌の取材、執筆
- キャッチコピーやネーミングなど
<画像・動画関連>
- 写真や動画の撮影、編集・加工作業など
<事務的な仕事や内職など>
- データ作成、入力
- アンケート記入
- 内職作業
- 覆面モニター
- 商品買い付けや発送代行など
クラウドソーシングサービス会社と一口に言っても、各社それぞれに特徴があり、受発注されている仕事内容や取引企業に傾向が見られることもあります。登録は無料というサイトが多いので、複数のサービスに登録して様子を見るのもオススメです。
一方で、多くの場合、クライアントと受注者それぞれに「評価」システムが導入されているので、実績があって高い評価を得ている人ほど仕事のスカウトや採用面で有利になります。複数のクラウドソーシング会社に登録すると仕事の幅は広がりますが、評価は各社で分かれてしまうので使い勝手のよいサイトに限定して実績を作るのも良いでしょう。
クラウドソーシングで得られるメリットは何?
2014年版中小企業白書には、2013年12月にクラウドソーシングサイト運営事業社4社の協力で実施された実態調査の結果が掲載されています。その中に「クラウドソーシングを利用するメリット」について受注者に尋ねたアンケートがあるので多かった回答について見てみましょう。
個人事業主などの「事業者」が感じているメリット(複数回答)
第1位 仕事の受注のしやすさ
第2位 専門スキルを活かした仕事の獲得
第3位 売り上げの増加
学生や主婦などの「非事業者」が感じているメリット(複数回答)
第1位 空いた時間の有効活用
第2位 仕事の受注のしやすさ
第3位 家計の補助、学費等の獲得
開業届を提出している個人事業主などは、専門性やスキルを活かせる仕事を獲得しやすいことにメリットを感じ、売り上げの増加につながっていることが分かります。一方、学生や主婦などは「すきま時間」を使ってクラウドソーシングでの仕事に取り組み、収入を得られることにメリットを感じているようです。
他にも、本来なら契約書や見積書、納品書、請求書などのさまざまな書面上の手続きが、クラウドソーシングのWebサイト上で完結できることは大きなメリットと言えるでしょう。
単価が安い?クラウドソーシングのデメリットとは
では逆に、クラウドソーシングを利用する上で課題だと感じていることについては、どのようなものがあるでしょうか。こちらは「事業者」「非事業者」ともに、
第1位 仕事単価の低さ
第2位 受注が不安定
第3位 利用手数料の高さ
といった結果がでています。「仕事単価の低さ」については、専門性の低い仕事で特に多く見られ、実際にライティング記事「1,000文字以上350円」といった具合で募集が行われています。この報酬から利用手数料や電気代などの経費を差し引くと手元に残る金額はわずかしかありません。最初のうちは「実績作りのため」と割り切って仕事する場合もあるでしょうが、慣れてきたら経費や自分の価値も考えてきちんと仕事を選ぶようにしましょう。
また専門性の高い仕事でも、納品物のクォリティーが低く修正が必要になったり、納品が滞ったりするリスクを勘案し、最初から単価を低く抑えて発注されているケースが見られます。これは不特定多数の中から受注者を選ぶクラウドソーシングのシステム上、致し方ない面もあり、実際には継続して仕事を請ける中で信頼関係が生まれ単価も高くなる傾向にあるようです。
「受注が不安定」なことについても多くの人が課題としているところですが、受注数がトップクラスのワーカーたちはおおむね、継続して発注してくれるクライアントを複数持っていて、新規依頼を受けられないほど忙しい人もいます。いくつか仕事を請ける中で、お互いに信頼して仕事できるクライアントを見つけられるかどうかが、安定した受注を得るためのキーポイントと言えるでしょう。
第3位は「利用手数料の高さ」ですが、手数料はクラウドソーシング運営会社によって金額が違い、中には全く無料や一律10%としている会社もあります。一方で受注金額が増えると手数料も高額になることから、「10万円以下なら20%、10万円~20万円なら10%、20万円超は5%」など変動する設定になっているのが一般的です。手数料が安くても掲載案件数が少ないと受注にはいたりませんし、手数料を支払う代わりに豊富な案件受注や便利なシステムを利用できると考えてみてはどうでしょうか。
クラウドソーシングはこれからどうなる?
中小企業白書によると、クラウドソーシングサイト会員数は2011年が24.1万人、2012年が43.3万人、2013年が91.6万人と年々倍増しています。今後も外部に任せられる仕事は外注して業務の効率化を図りたい大企業や、人手が足りない中小企業や小規模事業者からの発注はこれからも増えていくことが予想されます。
その結果、クラウドソーシングで副業を始めたサラリーマンや、お小遣い稼ぎのつもりで始めた主婦層などが定期的な収入を得られるようになり、個人事業主(フリーランス)として活動を始めるケースも目立ってきました。特に結婚や子育てで退職した女性にとっては、在宅で仕事を請けられる点が大きなメリットでしょう。
一方で、クラウドソーシングは世界中どこにいても仕事の受発注ができるため「企業は海外のフリーランスに発注」、「国内のフリーランスでも海外からの依頼を受ける」といったグローバル化が加速する動きもあります。新興国のフリーランスが日本のクラウドソーシング市場に入ってくれば単価の下落がさらに強まる、といった懸念もあり、常に時代の変化に対応できる力を備えていかなくてはいけません。
中小企業白書によると、受注者のうちおよそ6~7割が「受注の選択肢を増やせると感じているため、今後、海外取引を検討している」とのこと。海外も視野に、クラウドソーシングで今後どのように仕事を得ていくかについてもじっくり考えてみましょう。
最近は、クラウドソーシング運営会社もワーカーの福利厚生やスキルアップのための教育に力を入れ始めていて、働きやすい環境づくりが進められています。また、クラウドソーシングの活用には政府や地方自治体も期待を寄せているところで、将来的な展開も楽しみなところです。まだクラウドソーシングを試したことがない人も、登録だけなら無料というサービスが多いのでお試しでも登録してみてください。
参照:クラウドソーシングのメリット・デメリットを解説した記事はこちら
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