フリーランスにとって見積書の存在が重要なワケ
駆け出しのフリーランスが最初に迷うことの一つに「見積書の作成」というものがあります。業界の相場感がつかめず、何となく安くした方が採用してもらえるのではないか、という思惑も入り混じりながら、そもそも見積書ってどうやって作ればいいんだ?など疑問がたくさん浮かんでくることでしょう。
重要なのは、フリーランスの場合、サラリーマンやアルバイトなどと違って経費や税金も含めた価格を意識しなければいけないこと、また、依頼された仕事にどの程度の時間がかかりそうかを考え「時間単価いくらか」という観点から見積を出すことです。見積金額の出し方は人それぞれですが、一般的な目安としては「給与で得られる金額の3倍」とされていますので、そちらを参考にすると良いでしょう。
注意したいのは、むやみに単価を下げないことです。相手から値下げを交渉されても、一度、単価を下げてしまえば今後も同じ値段でやらざるを得なくなります。安請け合いをしていると業界全体の単価が下がることになり、将来的に立ち行かなくなる恐れもあるでしょう。そのためには、自信を持ってクライアントに説明できる見積書の存在が重要となります。
見積書の書き方の基本とは
見積書には決まったフォーマットはなく、職種によっても細かな点は変わってきます。自分のビジネスに合ったものを選んで使うことが必要ですが、ここでは基本的なポイントに絞って書き方の注意点を解説していきます。
①宛先
会社や担当部署宛てには「御中」、担当者充てには「様」と敬称を使い分けて記載します。失礼のないよう、誤字脱字のないようにしましょう。
②通し番号
必ずなければいけないものではありませんが、通し番号を付けておくと再発行や保存のときに管理がしやすくなります。
③発行日
後から問い合わせがある場合も想定して、正確に記載しておきましょう。
④提出者
氏名と住所のほか、電話番号やメールアドレスなども記載しておくと連絡先がすぐに分かり、トラブルがあった際に対応しやすくなります。
⑤捺印
フリーランスの場合は、氏名の右横に作成者の印鑑を押します。必須ではありません。
⑥見積書タイトル
タイトルは「お見積り書」、「御見積書」、「見積書」などとして、他の字より大きく目立たせます。タイトルの下などに「下記のとおりお見積申し上げます。」と一言添えてもよいでしょう。
丁寧に書きたいときは、
- このたびはお見積りの機会をいただきありがとうございます。下記のとおりお見積りさせていただきますので、ご検討よろしくお願いいたします。
- 平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。下記の通 りお見積もり申し上げます。何卒宜しくお願い申し上げます。
など、お礼の気持ちを込めて書いておいてもよいでしょう。
⑦見積書の有効期限
見積もった内容について期限を定めるために設定します。物価が値上がりした場合など状況の変化に備えるためですが、期限内にクライアントの意思決定を促す意味もあります。ただし期限内は見積書の内容を変更できません。
⑧見積金額
「Webサイト制作費」と大まかに記載するのではなく、細かく作業工程に分けて「何にいくらかかるのか」がはっきり分かる方がクライアントは検討しやすくなります。
⑨備考欄
納期を日付で指定するか、「正式受注後1ヵ月以内」といった表現で記載しておきます。「貴社指定サーバー」など納品先が決まっている場合は明記しておきましょう。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
仕事別!見積書の書き方のポイントとは
- ライター
原稿料という形で見積もりを出します。交通費などを最初から見積もっておくケースもありますが、基本的には実費請求になるので「打ち合わせ、取材にかかる交通費、諸経費は別途、請求させていただきます」など書いておくとよいでしょう。 - デザイナー
「Webサイト制作費」とひとくくりにするのではなく、ディレクションやデザイン、コーディングについてそれぞれいくらなのか、という見積もりをはっきりさせましょう。また、クライアントの要望によってWordpressの組み込みや動画作成などの依頼があった場合は別料金で対応する旨を記します。その他、操作方法のレクチャーや更新のやり方を指南するマニュアル作成が必要なら、その分も見積もりに入れて良いでしょう。 - プログラマ
「サイト開発費」、「システム設計」、「データベース作成」など具体的な項目をあげて見積もりを作りましょう。その他、「サーバメンテナンス」や「打ち合わせ」、「システムエラーチェック」などは単価×回数で金額を決めていきます。 - イラストレーター
イラストの使用料として見積もりを出す、ということをはっきりさせ、必要な時は使用期間についても明記しましょう。版権の買い取りは別途相談に乗ることを書いておくと安心です。 - カメラマン
撮影費のほか、スタジオの使用料や機材費、アシスタント代などを加えて見積もりを出します。必要に応じて、写真の補正費用やデータ加工費用なども算出しましょう。またデータを渡す際のメディア代、取材費などは実費で計算します。
フリーランスに役立つ!見積書テンプレート
見積書の書式を1から作るのは大変です。インターネット上には多くのテンプレートが公開されており、自由にダウンロードして使えるものもあります。デザイン性に優れたものや個性的なものなど種類が豊富なので、自分のビジネスに合ったものを選びましょう。
クラウド型サービスも活用しよう!
クラウド型の見積書作成サービスを利用すると帳簿管理やデータ整理が便利になり、郵送代行など付加サービスでもメリットがあります。各社それぞれに特徴があるので内容をよく検討し、無料体験などで使い心地を試してみると良いでしょう。
- みつもらー
http://mitumora.com/ - 見積オンライン
http://www.mitsumol.jp/
見積書はビジネスの明暗を左右する重要な書類である一方、さまざまな業務を抱えるフリーランスにとってはなるべくスムーズに完成させたいのも事実。テンプレートやクラウド型サービスなども上手に利用しながら、自信を持って出せる見積書をサクッと作れるようになりたいですね!
参照:採用率アップも夢じゃない!見積りの秘訣を公開した記事はこちら
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