若くしてフリーランスになる人は少数派
令和元年度の小規模事業白書によると、20代のフリーランスはわずか12.4%にとどまっています。若いころにフリーランスになるのはリスクが高く、ある程度、企業で働いて社会経験やスキルを積み、人脈もできてから独立する、と考える人が多い結果の表れであると言えるかもしれません。
しかし今や自宅にパソコンさえあれば、だれでも今すぐビジネスを始められる時代です。特にWebデザインやIT系のジャンルでは、新しい感性で仕事ができる若い世代の方が有利な面もあるでしょう。実際、仕事の環境を整える初期投資はさほど必要なく、クラウドソーシングを利用すればすぐにでも案件を見つけられるはずです。
クラウドソーシングの場合、インターネット上のお付き合いだけでビジネスが成立することも多く、採用にあたっては年齢や勤務経験よりフリーランスとしての実績が重視されます。コンペを利用すれば実績がなくても、作品の評価だけでビジネスチャンスを得られる可能性は大いにあるのです。
まずはどのような仕事で、どのような強みを持ったフリーランスとして勝負していくのかを整理し、戦略を立てることから始めましょう。若いからといってフリーランスに挑戦できないわけでは決してありませんが、フリーの編集者やマーケティングプランナーなど業種によっては未経験では難しいこともあります。またライターやフォトグラファーなども、アシスタントの立場でも良いので現場に足を運んで経験を積んだ方が後々のスキルや人脈につながります。大切なのは将来の自分を思い描いて、いま自分がすべきことは何なのかを熟考することです。
経験の浅い20代は不利?
できることならフリーランスに外注したい、という企業の要望は年々高まっています。では誰に依頼するかとなったときに、スキルや経験は未熟だが熱意にあふれている20代の若者と、経験豊富なベテラン中高年なら企業はどちらを採用するでしょうか。
ビジネスの経験で言えば40~50代のベテラン世代が強いかもしれませんが、企業の担当者から見て年上にあたる人に指示を出すのは難しいものです。それならば多少の指導は必要でも話がしやすく、バイタリティーや育てがいのある若者に仕事してもらおうと思う可能性はなきにしもあらず、です。
つまり20代の早いうちからフリーランスになる最大の特権は言うまでもなく「若さ」、そして「年下である」ことです。クライアントから可愛がってもらえる存在になれば、長期にわたって継続的な仕事が保障されるかもしれません。それはフリーランスとして生きていくうえで、最大の武器となるはずです。
また、結婚して家庭を持つようになれば安定した収入が求められるようになります。自由気ままなスタイルで仕事に没頭するのは独身時代だからこそできること。自分一人が食べていければよい、という状態だから、多少のリスクは覚悟で挑戦できることもあるはずです。一方で10年先、20年先の自分はどうなっていたいのか、人生設計のプラニングは必ずしておきましょう。年齢が上がるにつれて若いときと同じような働き方は体力的にも、立場的にも難しくなってきます。何日も徹夜しなければいけないような働き方は長く続きません。フリーランスでずっとやっていくつもりなら、早いうちから安定的な仕事が得られる仕組みづくりを考えておく必要があるのです。
また、若いうちは大いに失敗して学ぶ時期ではありますが、サラリーマンなら会社が責任を肩代わりしてくれても、個人で勝負するフリーランスは違います。会社という組織に守られている立場ではないので、若さゆえの未熟さをカバーする努力は最大限続けるようにしたいものです。
IT業界の「35歳定年説」は本当?
30代でフリーランスになろう、という人なら、数年の勤務経験を持つ人がほとんどでしょう。社会人として一定の経験は持っているため、20代からフリーランスになる人に比べればクライアントとのコミュニケーションなどはスムーズに進むはずです。また基礎的なスキルを身に付け、業界の動向や事情に触れているのも強みになります。同様にもし20代の早いうちからフリーランスになった人なら、30代はちょうど仕事に脂が乗ってくる時期かもしれません。
一方で「プログラマー35歳定年説(限界説)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。実際に40代、50代でも活躍しているプログラマーは存在するため、この定年説は否定されています。しかしIT関連の仕事の場合は常に新しい技術が登場するため、よほど意識して情報のキャッチを続けなければ技術的に付いていけなくなるのは確かです。
また、30代後半になるにつれ、自分より若い人たちと仕事をする機会が増えてきます。たとえばクライアントの担当者が自分より年下、というときでも謙虚な姿勢で指示内容に従えるかどうか。一緒にチームを組む若い人たちと同等の立場で共同作業ができるかどうか。まだまだ体力的なことは心配しなくて良い年代でしょうが、「35歳定年説」はある意味、言い当てているところもあるので肝に銘じておくことが必用です。
結婚、子育てをどう乗り越えるのか
平成25年版厚生労働白書によると、日本人の平均初婚年齢は2012年で夫が30.8歳、妻が29.2歳でした。さらに第1子を出産した母親の平均年齢も30.3歳となっています。個人差はあるとはいえ、大多数の人が30代前後に結婚や出産を経験し、大きな人生の転機を迎えるのは間違いないでしょう。
そこでおそらく大多数のフリーランスが直面するのは、「社会的信用が低いこと」と「収入の不安定さ」です。不動産やローンの契約面でフリーランスは不利になることも多く、ライフスタイルの変化に対応できない可能性もあります。
万が一、フリーランスとして家族を養う自信がなくなれば、再就職するかどうか、の判断を迫られます。
サラリーマンは給与から諸々が引かれるため手取り収入は減りますが、社会保険や年金といった面からも社会的な安定は得られるでしょう。サラリーマンに戻るのは「負け」ではありませんし、実際にフリーランスを辞めて企業で勤め始めた人もたくさんいます。企業の採用担当者もフリーランスで苦労した経験を評価してくれることがあり、再就職が不可能なわけではありません。年齢や状況に応じた働き方を柔軟に選択していくことは、フリーランスにとって一番大事なことなのです。
女性の場合は、ママになったときフリーランスとして仕事ができるのかどうか、という判断も必要になるでしょう。
自由気ままに好きなことができそう、と軽い気持ちでフリーランスになるのはリスクが大きいものの、挑戦してダメならやり直しがきくのも若いうちの特権です。これからは多様な働き方を自ら選択していく時代。当たり前のようにサラリーマンになるのではなく、フリーランスという生き方も人生の選択肢に加えてみてはどうですか?
参照:フリーランスの現状と将来に向けてのポイントを解説した記事はこちら
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