「ノマド=フリーランス」は正しいのか?
カフェでノートパソコンを広げて仕事をしている様子を「ノマド」と表現する機会が増えました。「ノマド的」や「ノマドワーカー」「ノマドカフェ」など派生語もたくさんあり、なんとなくノマドとフリーランスを混同している人も多いのではないでしょうか。
そもそもノマドという言葉をメジャーにしたのは、ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの著書『仕事するのにオフィスはいらない―ノマドワーキングのすすめ』(2009年、光文社新書)からだと言われています。ノマドという言葉が意味するのは“遊牧民”。「オフィスで働く」という固定概念を捨てカフェや公園、電車の中など、色々なスポットを渡り歩きながら仕事するスタイルを指しています。
つまり「ノマド」とは働き方の一種ですから、サラリーマンでもオフィスの外で仕事をすればノマドと呼べることになるでしょう。
一方でフリーランスとは企業や団体、組織に所属せずビジネスを行っている個人事業主のことで、自営業者にも該当します。フリーランスでも基本的には仕事場や事務所を持っていますから、必ずしも全員がノマドで仕事しているわけではありません。
このように自由に働く、というイメージから「フリーランス=ノマド」と考えられがちですが、言葉の意味としては全く別のものです。もちろん、アルバイトや派遣社員など非正規雇用で生計をたてている「フリーター」とも意味は異なります。
「ノマド」という言葉自体は一時期のブームが去ったように感じられますが、街中でノートパソコンを広げて仕事している人はごく普通に見かけるようになりました。そこでこの記事では、フリーランスが自宅や事務所以外で仕事をする、つまりフリーランスのノマド実践法にポイントを絞ってご紹介します。
フリーランスがノマドで働くメリット
ワークライフバランスが強く意識される世の中になってきましたが、会社や組織に所属している以上、働く時間や場所は全て自由になりません。趣味やスポーツで何か挑戦したいことがあっても、たいていの人は会社組織から許される範囲で取り組みます。また家族や恋人と過ごす時間を最優先に考えたくても、仕事量や休日をコントロールするのは実際には難しいこともあります。
一方でフリーランスの場合、ノマドという働き方を選べばサラリーマン時代にはできなかったことができるようになります。たとえば世界中、好きな場所を旅しながら仕事をしたり、一年のうち数ヵ月は外国のウィークリーマンションなどに仕事の拠点を持って、マリンスポーツやウィンタースポーツを楽しんだり、といった生活が現実のものになるのです。また生活費が安く自然環境の良い地方に引っ越して、打ち合わせなどで必要なときだけ上京する、といった生活や、子どもが小さいうちは子育て優先で合間に仕事する、といったスタイルが可能になるのもノマドならではと言えるでしょう。
もちろん、フリーランスやノマド的な働き方は金銭的な安定を望むのが難しい働き方ですので、「そんなの理想論だろ」と一喝されてしまうかもしれません。しかしながら、フリーランス、ノマド的な働き方を選んで自分なりの幸福を手に入れている方が増えてきているのも事実です。そのような選択肢があることを覚えておきましょう。
本来の意味が「遊牧民」であるように、自由に働く場所を変えていくノマドは柔軟な発想で人生を捉えようとする人にとって最適な働き方です。それを実践できるのは、やはりサラリーマンよりフリーランスが圧倒的に有利。今しかできないこと、今やっておきたいことがあるならば、ノマドという働き方を選択肢に入れてみましょう。
フリーランスがノマドをするとき気を付けたいこと
- セキュリティの問題
街中でも無料で利用できるWi-Fiが増えてきましたが、セキュリティ保護がされていないときは通信内容が他人に読み取られる恐れがあります。自分が利用しているWi-Fiがセキュリティ対策を行っているものかどうか、確認してから接続するようにしましょう。
セキュリティの保護をしている公衆無線LANでも、店舗内でパスワードを公開しているケースでは利用者同士で通信内容を閲覧できる可能性は残ります。そのためオンラインバンキングや個人情報の入ったサイトへのログイン、パスワード入力などは必ず暗号化してデータ送信できる「HTTPS」のウェブサイトを利用するよう心がけましょう。また「ネットワークの場所」の設定で「パブリックネットワーク」を選択し、インターネット上の脅威から保護することも忘れずに!
また、ノマドならどこでも仕事ができるわけですが、万が一、ノートパソコンの紛失や盗難にあったら大変なことになります。パソコンそのものの損害より、ハードディスクに保存している仕事関係の書類や顧客の連絡先などが流出する恐れがあるからです。また、パソコンの画面を周囲の人からのぞき見される可能性もあります。特に守秘義務のある仕事や企画段階で公にできない内容は注意しましょう。気になる人は、のぞき見防止用OAフィルターの利用をお勧めします。
- カフェで仕事することを快く思わない人もいる
ニュースサイト「しらべぇ」が20代から60代の男女1,500名を対象に、カフェやファミレスなどで仕事や勉強をしている人を見ると、「家や会社でやってほしい」と思うかどうか尋ねたアンケート結果があります(2015年1月実施)。
それによると「YES」は32.3%、「NO」は67.7%となり、3人に1人がカフェやファミレスで見かけるノマドを好意的に見ていないことになります。その理由は、店内が混雑しているのに仕事していたり、ワンドリンクで何時間も席を占領していたり、といったことが背景にあるようです。
実際にはWi-Fi環境やAC電源まで用意した店舗が増え、ノマド歓迎の風潮は定着しつつあります。しかし、まだまだカフェやレストランで仕事をする様子に違和感を持つ人もいるのは確かなようです。公共の場では色々な立場の人が同じ空間を共有していることを頭に入れ、我が物顔で利用しないように気を配りましょう。
参照:Sirabeeニュース「ノマドに対し「家でやれよ…」「会社戻れよ…」と思ってる人はどのくらい?」
ノマドワーカーにオススメの店舗を探すポイント
- Wi-Fiが使えるか
会員登録すれば、店内で使える無料Wi-Fiを提供している店舗が増えてきましたが、アクセス集中により快適なネット速度が保たれない場合もあります。Wi-Fiが提供されていない場合は、スマートフォンからインターネットに接続する「デザリング」を試してみましょう。
- 電源が確保できるか
各テーブルに電源を確保している店舗なら問題ありませんが、お店の壁にある電源を勝手に拝借すると窃盗罪で訴えられる可能性もあるので注意しましょう。
- 長時間、作業しやすい座席か
プラスチックや木の椅子は硬く、冷たさも伝わってくるため長時間の作業には不向きです。また長時間猫背の姿勢を続けていると神経伝達物質セロトニンの減少を助長する、という研究結果があります。セロトニンが不足すると精神的に不安定になり、集中力に欠ける傾向があるので、正しい姿勢で作業ができる座席の確保が必要です。
カフェやファミレス以外でノマドができる場所
気分転換のため公園など青空の下で仕事をしたり、駅や電車の中で過ごす時間を仕事にあてたり、自由な発想で働けるのがノマドの魅力です。家族旅行の最中でもホテルのロビーなどでは快適に仕事ができるでしょう。ほかにも図書館や公共施設の自習スペース、カラオケ店などでもパソコンを広げることもできますが、集中して仕事をしたいならコワーキングスペースが最適です。
複数の人で仕事場所を共有して使うコワーキングスペースは全国に拡大しており、ベビーシッターや保育所との提携、リゾート風スタイルのインテリア、シャワー室・仮眠室付きなど個性を競い合っています。コワーキングスペースの情報をまとめている「コワーキング.com!」によると全国にはおよそ300カ所があり、最多の東京は124カ所(2015年9月現在)。事前登録して月額料金で利用できるものや、利用したいときだけ自由に立ち寄って時間制で料金を支払うものなどがあります。同じ目的で使用している人が集うので刺激を受けやすく、また交流の場にもなって新しいビジネスチャンスも生まれるでしょう。
遊牧民のように仕事する姿をノマドとするなら、1年間のうち数か月はリゾートで、といった働き方も可能になります。ノマドをカフェで仕事する姿だけに固定せず、もっと柔軟な発想で仕事もプライベートも楽しく両立させてみませんか?
参照:リモートワークとノマドワークの違いについて解説した記事はこちら
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