在職中の知識や経験を活かして、退職後に起業するシニア起業家やアイデアのある主婦や学生が起業するケースが増え注目されています。また、近年、フリーランスという言葉を耳にする機会も増えてきました。会社員と違い、自分のスタイルで仕事ができ、時間も自由に使える起業・フリーランス。魅力的ではありますが、その違いについて知らなければ、失敗するリスクも高まります。
起業とフリーランスの違いをおさらい!
起業とフリーランスの違いを簡単に説明すると、
起業とは、新しく事業をはじめることであり、起業家は自分にあったスタイルで会社を設立し、届け出を申請します。飲食店、クリーニング店、ペットショップなど保健所の許可が必要な業種もあります。
一方フリーランスは、企業から請け負った業務を実際に遂行する個人事業主のことを言います。フリーランスでは、法人化する場合や青色申告控除を受けたいという場合は開業届を出さなければなりませんが。基本的には届け出を何も出さなくても始めることができます。起業に比べて明確な定義があるわけではなく、組織に属さず知識や技能を活かして働くことになります。
フリーランスと起業、どちらが多い?
日本フリーランス協会公式ページには、「明確な定義がないため実態の把握が難しいものの自由業者の数が 200万人から230万人・事業所の登録数600万ヶ所以上で日本国内の40分の1程度ではないか」(1990年代)と記されています。最近では、およそ1277万人、つまり10人に1人がフリーランスとして働いていると推測されています。
一方、総務省統計局が実施した平成24年就業構造基本調査によれば、起業者は513万8千人で,そのうち「自営業主」の 起業者は368万2千人,「会社などの役員」の起業者は145万6千人となっています。
フリーランスと起業者の人口は、フリーランスが倍以上多いことがわかります。ではどうして、起業者ではなくフリーランスの道を選ぶ人が増えているのでしょうか。年収の違いについて調べてみました。
フリーランスと起業者の年収の違いは?
中小企業庁が2015年にまとめた「小規模企業白書」によると、フリーランスの手取り年収は、100万円から300万円未満が最も多く、全体の約6割を占めています。フリーランスの近年の売り上げや利益は約7割が増加もしくは横ばいと答えていることから、事業を安定的に運営していることが伺えます。
一方、日本政策金融公庫総合研究所が2015年1月に行った「起業と起業意識に関する調査」によると、起業者の1カ月の平均売り上げは、30万円から50万円未満が全体の約59.7%を占め、年収にしておよそ360万円から600万円近く稼いでいることがわかります。
では、起業はフリーランスより稼げるにもかかわらず、フリーランスを選ぶ人が多いのはなぜでしょうか。
お金よりもほどほどの自由が欲しい!
働き方と天職を考えるウエブマガジン瓦版調べによれば、自由が多くほどほどの給料が得られるフリーランスと、リスクもあるが多くの収入が得られる起業とを天秤にかけた場合、多くの人が「自由とほどほどの給料」を選ぶことがわかりました。
社会が不安定な今、冒険よりも安定を選ぶ傾向にあります。会社の副業として休日を利用して働くフリーランスはリスクも低く、多く収入を得なければ税金の手続きも簡単です。一方起業は、事業の内容にもよりますが自己資金も必要でリスクが高いと考え、また手続きも面倒だと感じ敬遠する傾向にあります。
たしかに、業種によっては様々な許可申請が必要な業種も存在します。しかし一方で、許可申請が必要なく、自己資金がかからない業種もあります。
例えば、高齢化、共働き世代の増加により、ニーズが高まりつつある家事代行業は、許可申請の必要はなく、個人であれば税務署への開業手続きだけで済みます。また、開業にあたっては、掃除用具などの購入がなければ電話やパソコン、FAXで開業できるため、比較的参入しやすい業種として注目されています。
翻訳業も設備投資はなく、起業にあたって法的な許認可を受ける必要もありません。個人であれば、税務署への開業手続きだけで済むこともあり、個人での開業も多く、売り上げが1億以上という企業が存在します。
増加するフリーランスとクラウドソーシング
起業しても、儲かる保証はどこにもありません。会社員として安定した収入を得ながら、クラウドソーシングなどを利用して業務を請け負い、副業が会社員の給料より多くなり、今後も安定的に収入を確保できると確信すれば、会社を退社し副業を本業に。その後、手続きなどを調べ、起業を検討するという流れが安全です。
ちなみにいくらあれば今の仕事をやめるかという質問には、約20%が1億円と答えています。今後も増えていくと想定されるフリーランス。あなたはどんな働き方を選びますか。
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