はじめに
フリーランスになるときの一番のハードルは、やはり仕事をどうやって取ってくるかです。営業!と一言で言っても、飛び込みで簡単に仕事がもらえるわけではありません。
何事も知識と経験から始まります。まずは知ること、そして実行することが重要です。
フリーランス共通の課題「営業」
フリーランスとして活動する、あるいはこれからしてみたいと考えている人の大きな悩みとなっているのが「営業」についてです。企業に所属していれば営業担当者がいるため自分が直接営業する必要がなく、中には懇意のクライアントがいたという理由で取り急ぎ営業をする必要がなかったという方もいらっしゃるでしょう。
それが独立した途端すべて自分でこなす必要があるという事実に、フリーランスでやっていくことに高いハードルを感じてしまう人も多いはずです。フリーランスに営業は避けて通れない道ですが、営業が不得意な人でも、営業に関する一定のルールを覚えさえすれば、簡単にこなせるようになります。ここでは、そのためのポイントを押さえていきましょう。
フリーランスが感じる営業への苦手意識
営業が苦手であったり、営業が後回しになりがちなフリーランサーも少なくありませんが、営業がうまくいかない人の共通点として、以下のケースが挙げられます。
- 営業の仕方、アプローチのポイントがわからない
- 営業を行う相手が見つからない
- 営業をしているのに発注に繋がらない
- 今ある案件が忙しくて手が回らない
では、このようなケースにおいて、どのような営業を行えばいいのでしょうか。それぞれのケースに合わせて営業のポイントを探っていきましょう。
営業の仕方、アプローチのポイントがわからない:フリーランスの営業は「自己分析」から
フリーランス初心者には自分に対する様々な分析を行わないまま闇雲に営業を始める人がいます。どんなに業務経験があってもフリーランスとして活動するという点では初心者ですので、しっかりと自分の状況や目的を見つめなおす必要があります。営業の仕方、アプローチのポイントがわからないという人は、まず「この人に仕事を発注したい」ではなく、「こ人の話を聞いてみたい」と思わせるような営業をすることを目標に設定してみましょう。
特にクラウドを介したお仕事発注では、顔を会わせないまま受注者の選定や業務が進行することが大半であり、クライアントは多くのワーカーが提示している少ない情報の中から信頼してお仕事を任せられる人を選定しなければなりません。こういった情報を逆手にとって、まずは自分に興味を持ってもらうことが大変重要になります。
では、そのためにどのようなアプローチをとるべきでしょうか。まずは、マッチングサイトの案件や名刺交換したクライアント候補に連絡する際に、伝えるべき情報をきちんと伝えます。では、そもそも伝えるべき情報とはどんなものでしょうか。
絶対評価と相対評価による自分の技術のレベル
自分にどんなスキルがあるのか、例えばプログラマーであればHTML,CSS,Java,C言語,Rubyなど、ライターであれば「政治経済」「ファッション」「音楽」など得意分野を挙げることによって、絶対評価を提示します。その他、でデザイナーなどであれば「コンペで〇百人の中から作品が選ばれた」や「一般的には〇時間かかるものを自分は〇時間でできる」など、相対的に測れるスキルレベルの提示も有効です。
一つの成果物を作成する平均工数
その案件を遂行するのにどれくらいの時間と工数を要するのかを明確に提示することによって、クライアントに安心感を与えることができます。特にフリーランスはスケジュールを柔軟に組みかえることができるという武器を持っている
ので、急募案件や短期案件を狙う場合には、上記のように「一般的には〇時間かかるところを、自分は〇時間でやれます」のように、相対的にみて自分が早いということをアピールできるといいでしょう。
希望報酬
契約を交わす際、相手が報酬額を提示している場合がほとんどですが、業務が専門的になればなるほど、クライアントが相場や工数を分かっていない場合があります。上記のように工数や掛かる時間にプラスして、詳細な報酬額を提示することによって、信頼感を与えることができます。デザイナーやライターの場合、修正依頼の回数などもあらかじめ提示しておくといいでしょう。
提示できる過去作品
以上のような情報に信憑性を付与するために、過去作品を提示します。特に相手が自分に発注してくれそうな案件に関係があるような過去作品、過去案件を提示できると、クライアントも安心してあなたに仕事をまかせることができるでしょう。昨今では守秘義務が厳しくなり過去案件の提示が難しいケースもあります。その際は、クライアントに提示できる例を自分で作成し、ポートフォリオサイトなどを用意しておきましょう。
上記のような情報は、いわば絶対に必要な情報であり、必要最低限のアピールポイントとなります。その上で、自分に興味を持ってもらえるようにするためには、もっとパーソナルな部分が見えるような情報を提示する必要があります。「普段は主婦をやっていて、育児をしながらお仕事をしています」「都心部から地方へ移住し、農業をしながらフリーランスで仕事をしています」など、クライアントがあなたをイメージしやすいような情報を伝えるとともに、「主婦としての目線で文章が書けます」「直接足を運ぶことはできませんが、スカイプ等でやりとりができます」など、パーソナルな背景を強みに変えることで他者との差別化を図るようにしましょう。
営業を行う相手が見つからない:一から営業を行う=正攻法ではない!
営業の仕方やアプローチの方法はだいたい理解したけど、そもそも営業を行う相手が見つからない!という方も多いでしょう。フリーランスとして独立を考えている方、またはフリーランスを始めたが仕事がないという方の多くが、「成功しているフリーランスは、飛び込み営業で上手く仕事を請けている」と思っているようですが、実は、フリーランスで飛び込み営業をするというのは正攻法ではありません。
これは「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」という中小企業庁が委託で行った調査により明らかになっているのですが、フリーランスの47%は既存の顧客からの紹介、その他36%が友人・知人から、24%が同業の企業・経営者から、7%が異業種の企業・経営者から仕事を請けていると答えているのです。
つまり、営業先がなくてもこのようなつながりを有効に使うことができれば、数珠繋ぎに仕事を請けることができます。では、既存の顧客がいない、同業の企業・経営者に知り合いがいない、異業種の企業・経営者に知り合いがいないという人はどうすればいいのでしょうか。
上記の調査の第2位に「自分の営業活動・売り込み」(42%)という回答が挙がっていることからも、このような悩みを抱えている人も多いでしょう。このような方にオススメなのが、以下の3つの方法です。
参照:中小企業庁「小規模事業者の事業活動の実態把握調査~フリーランス事業者調査編」
セミナーやコミュニティに参加する
セミナーやコミュニティに参加すると、上記のような同業種、異業種関わらず様々な方に出会うことができます。しかしながら、このような提案をすると「セミナーに出たところで本当に仕事をもらえるの?」「そんな簡単に仕事をもらえるはずがない」という反応が返ってきます。確かにこの反応は正しく、セミナーやコミュニティに参加したその日に「こんな案件があるんですけど、お願いしてもいいですか」なんてことはありません。しかしながら、名刺交換や何気ない会話を通してあなたという人物を売り込むことによって、何かのタイミングで「そういえば、こんな人がいたな。この人に今回の案件を依頼してみよう!」というようなことがあります。セミナーに出るという営業方法をとっている人の多くは、このように長期的な展望の下、人脈を形成しています。セミナーやコミュニティ参加は成果に即効性は期待できませんが、このような何かのタイミングとなるきっかけを作ることができます。
クラウドソーシングを利用する
フリーランス初心者は、セミナーやコミュニティに参加しても提示する実績がないということもあるでしょう。そこでクラウドソーシングを使って、まずは簡単な案件をこなしましょう。クラウドソーシングは案件のレベルが低いものから高いものまでいろいろなものが登録してありますので、自分ができる仕事から少しずつレベルを上げて、報酬額の高い案件を狙っていきましょう。クラウドソーシングで案件を取りに行く際は、上記のアプローチ方法を参照するといいでしょう。
エージェントを利用する
クラウドソーシングは短期的なお仕事が多く、案件が終わる毎に新しい案件を探さなければなりません。その点、エージェントを利用すると、中長期的なお仕事を紹介してもらうことができ、安定した報酬を確保することができます。実際にフリーランスのエージェントサービスである「クラウドワークス テック」を覗いてみると、エンジニアやデザイナー等は月収50万~100万という案件が多く見られ、リモートワーク案件の求人も豊富です。
営業をしているのに発注につながらない:受注できる営業、受注できない営業の違い
なぜ営業が失敗したのかを見直す
失敗する営業の特徴として、「タイミングが悪い」「クライアントのして欲しい業務とズレがある」「商品である自分を的確にアピールできていない」といった共通点があります。受注に繋がらなかった案件がある人は、失敗する営業を自ら行っていないか再チェックし、次の案件に挑むクセをつけましょう。手当たり次第のギャンブル的営業法を続けていては、いつまでたっても状況はよくなりません。
クライアントの要望を理解することが先決
同じ成果物を求めるクライアントでも、
「半年後の発注を考えているが、まだ、案件を発注できる段階ではない」
「今から始めて三カ月後に納品して欲しい、できる限り品質を重視」
「緊急で対応できるクリエイターを募集、品質はそれなりでも納期重視」
というように、置かれている状況は様々です。営業がなかなかうまくいかない人は、上記のどのクライアントにも同じ営業をかけている可能性があります。まず、クライアントと打ち合わせをする段階で、相手が何を求めているか、この依頼で何を自分が実現できるのかをしっかりと想像・分析することでクライアントを理解するように努めましょう。その中で、先の案件であれば今できることの総括と定期的なフォローアップ、緊急案件であれば、積極的、具体的な提案を行う、などと営業内容や方法を随時変更しましょう。
自分ができることを明確にする
クライアントの要望を理解したところで、実際の提案に移りますが、営業がうまくいかない人は「自分のできることを漠然と提案している」傾向にあります。どれだけ過去の実績があっても、クライアントに今必要のないスキルであれば依頼は発生しません。多少経験や実績は少なくても、「(私はこんなことができるので)今あなたの業務でここまでなら活躍できるはずです」と具体的な提案をし、クライアントがあなたに依頼したら何を期待できるのか、をイメージづけ易くすることが大切です。自身のできることを大きく魅せる必要はありません。あくまで等身大の自分で勝負し、「私の経歴のプレゼン」で終わらないことが営業の重要なポイントです。
今ある案件が忙しくて手が回らない:様々な業務を受注するススメ
フリーランスは特に、「クライアントを一箇所に絞らないこと」を意識する必要があります。昨今では、クラウドソーシングやエージェント等、仕事を請けやすくなったと同時に、突然発注が途絶える可能性も十分に考えられます。一般的にはなるべく1クライアントの案件が3割程度に収まるようにペース配分するのが理想といわれています。すなわち少なくとも3社以上と継続した取引を行うのが一つの目標です。
また、一社にクライアントを絞らないことで、営業に余裕が出てきます。「何も案件がない状態で焦った場合」と「まだ案件が残っている状態で、相手に提案をするための準備期間がしっかり取れる状態」では営業の質が変わります。案件終了が見え始めた段階で、新たな案件探しに着手するよう意識しましょう。
そのうえで、仕事の内容も複数選んでおくのも安定という面においては重要になります。やりたい仕事一本に携われるのは理想ですが、日々の生活等もあります。ルーチンで行う仕事、長期案件で勝手が分かっているものをこなしつつ、新規案件を取りにいく。そうすることによって、営業にかけていた時間をやりたい仕事のための準備に使うこともできます。やりたい仕事に固執しすぎることなく、やれる仕事をこなすことも時には重要です。
フリーだからこそ、営業は重要。クライアントだけでなく、横の繋がりも大切に。
まずは自身のキャリアプランを想像してみましょう。やりたい仕事は何なのか。家族との関係を重視すべきかどうか、会社員時代にできないことにチャレンジすることが重要なのか。それらの条件によっても、クライアントの選び方は異なります。その中でクラウドソーシングを重要視した働き方をする人も多いのですが、可能であれば、実際の人脈を利用した「会えるクライアント」も確保・並行して受注するよう心がけるとよいでしょう。
会えるクライアントからは「案件を数珠つなぎ的に紹介してくれる」ことや、「万が一多忙になってしまった場合の横の繋がりを持たせてくれる」などあなたの業務や対応などを直接肌で感じることで思わぬプラス効果をもたらす可能性があります。
同様に孤独になりやすいフリーランスが横のつながりを持つことで案件拡充や、繁忙期の助け合いに繋がることが期待できます。
対面営業が得意ではない人や、人間関係を作るのが苦手な人、産休、育児中など営業をすることが困難な人にとってクラウドワーキングは会わずに受発注ができ、普段は知り合えないクライアントと出会える可能性もありますが、いずれの特性も理解した上で、対面の案件増加が見込めない時期にはクラウドワーキングで補強する。もしくはクラウドソーシングで業務の流れを理解し自信がついたら、実際にセミナーなどに参加し「会えるクライアント」を作ってみる、など、自分のライフスタイルや業務の状況を加味し、バランス良く取り入れましょう。
参照:仕事がないときのフリーランスのアクション一覧を紹介した記事はこちら
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