フリーランスが報酬1,000万円超えは可能なのか?
「フリーランスで1年間の報酬が1,000万円」という言葉をときどき耳にします。しかし、年収の目標として1,000万円を意識するフリーランスがいる一方で、おそらく多くの人は「夢のような話」、「現実的にありえない」と思っていることでしょう。
実際、フリーランスの手取り年収は300万円未満が全体の6割を占めていることが、2015年度小規模企業白書で明らかになっています。しかし「1,000万円~5,000万円未満」という人も3%ですが存在することも分かっています。これはフリーランス100人のうち3人が1,000万円超という意味で、宝くじで1,000万円が当たるより高確率。年収1,000万円のフリーランスを目指すことが無謀な話であるとは言えないのです。
では具体的にどれだけ稼げば年収1,000万円に近づくのかを考えるため、日割り計算してみましょう。たとえば1ヶ月に週休2日、22日間働くとして1年間で1,000万円の報酬を得たいなら、1日あたり3万8千円ほど稼ぐ必要があります。週休1日であれば1日あたり3万2千円という計算になります。
ここから経費を差し引いた値が手取り収入なので、実際はもっと稼がなくてはいけません。この値を見て「無理!」と思うか、「頑張れば行けそう!」と思うかは職種によって個人差が大きいことでしょう。
フリーランスの中でも、一般的に高い報酬が得られやすいのはIT関連のエンジニアだと考えられています。平均的な相場はプロジェクトマネージャーで600万~700万円前後、ソフト系エンジニアで450万~600万前後です。しかし、エージェントの募集内容を見ると1ヶ月で100万円を超す契約もあり、仕事内容によっては年収にして1,000万円を超える可能性があります。また月単位の契約ではなく、成果報酬制だと更なる金額アップも期待できるでしょう。
また、クラウドソーシングは単価が低いと言われることもありますが、クラウドワークスでは年間の累計報酬が2,000万円を超えるワーカー(30代女性・翻訳家)も実際に誕生しています。他にもwebエンジニアの男性で約1,500万円、アプリエンジニアの男性で約1,000万円という事例があります。
ではフリーランスで年収1,000万円はどうやれば実現できるのでしょうか。
参照:フリーランスエンジニアの年収を徹底解説した記事はこちら
年収1,000万円に近づくための3つの心がけ
【①専門性や強みを持つ】
先の事例にあったように、ITエンジニアや翻訳家で年収1,000万円を超えている人は、他人より優位なスキルを持っていると考えられます。
たとえば翻訳家なら年収100万円程度の人がたくさん居る中で、なぜ一部の人は1,000万円を超えることができているのでしょうか。翻訳業の場合はロシア語などあまり携わっている人がいない言語で、かつビジネスやその他の取引上、翻訳するニーズの高いものが報酬は高くなります。また、英語や中国語などメジャーな言語であっても、医療や法律、政治など専門分野の翻訳ができる人ほど好条件での仕事を得やすいはずです。
ライターであってもラーメンやパンケーキといったグルメや、フィギュアやアイドルといったオタク文化など、特定の分野で見識に富んでいればそれを売りにできる可能性があります。
専門性を持つことの強みはほかにもあり、たとえばその分野で名の知れた人物になれば書籍の執筆依頼が来たり、マスコミから取材依頼を受けたりしてどんどん可能性が広がっていきます。さらにセミナーの講師を務める、監修業務やコンサルタントを頼まれる、といった展開も期待でき、本業以外の部分で収入アップにつながっていくのです。
【②自分のスキルを最大限高める】
デザイナーやライターなど、ある程度、相場が決まっている仕事では、自分のマンパワーを考えてもこなせる数には限りがあり、年収1,000万円まで近づくのは難しいのが現状です。しかし、大多数の同業者の中から抜きんでる力や人脈を持っていれば、デザイナーやライターでも高い報酬を得られる可能性は必ずあります。
たとえばライターなら、それなりに書ける人は山ほどいても、クライアントが求める高レベルの記事を納期通り確実に納めてくれる、という人は案外少ないものです。それほど高スキルのライターは希少価値が高まり、企業側も高い報酬を用意して囲い込みを行います。そうなれば市場で一般的に提示されている水準より高い単価が約束され、しかも依頼は途切れることがありません。ライター自身も責任のある仕事を通してスキルが磨かれ、一記事一記事のクオリティが高まっていくという好循環に入り、結果として年収アップが見込めるでしょう。
どの職種であってもトップクラスを目指すモチベーションがあれば、結果は必ずついてきます。そのためには日ごろから、自分の価値を高める努力を怠らないことが重要です。
【③謙虚であり続ける】
年収1,000万円を超えるフリーランスになるためには強さが必要ですが、同時に謙虚であることも忘れてはならないポイントです。フリーランスは会社組織という後ろ盾がない立場だからこそ、一度、信用を失えばあっという間に収入が激減するリスクを抱えています。また情勢やトレンドの変化で、いつなんどき、必要とされない人材になるかも分かりません。
年収1,000万円の人、と聞けば、派手にビジネスをやっているイメージを持たれる人もいるかもしれません。しかし、それほどの収入をあげられるのは信頼や責任など“重いもの”をたくさん抱え、なおかつ謙虚で冷静に今の自分を分析できる人です。また、新しいスキルや情報にも真摯に向き合い、若い人たちとも対等な気持ちで付き合える姿勢も大事ではないでしょうか。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
収入を押し上げる「ストックビジネス」という考え方
一方で日々どれだけ稼いでも1,000万円には到底届かない、というのが多くの人の実感です。そういうときは、お金を稼ぐための発想を変えるしかありません。あらゆるビジネスで基幹となっている考え方が、フロービジネスかストックビジネスか、という発想です。フロービジネスとは、1回の取引で完結し報酬が支払われる単発的な仕事を指します。一方ストックビジネスは、その名の通り報酬が蓄積されていく意味で、毎月一定額の収入が見込めるようなビジネスを指します。
これをフリーランスにも置き換えて考えてみると、たとえばwebデザイナーがホームページを制作して納品するだけなら、そこで取引が完了するので「フロービジネス」となります。一方、納品後も定期的にメンテナンス収入を得る仕組みを作れば「ストックビジネス」になるでしょう。ドメイン取得やサーバー維持などHP作成に付随する他のサービスも同時に申し込んでもらい、長期にわたってビジネス関係を維持できるようにするのがポイントです。こうしておけば、たとえ月々のメンテナンス料が高い金額でなくても、毎月必ず発生するので収入はどんどん蓄積されていきます。このようなビジネスを複数持っておけば、フリーランスの場合、全く収入が途絶える心配がなくなって大変効果的です。
他にもフリーランスにとっての「ストックビジネス」としては、書籍を出版し印税収入を得る道が昔から知られています。最近では、ブログでアフィリエイト収入を得る仕組みを作ることも一般的となりました。
また写真やイラスト素材を提供するサイトに登録し、ダウンロードごとに課金されるシステムを利用する方法もあります。戦略的にどのような写真にニーズがあるのかよく考えてアップしないと課金は期待できませんし、大金を得られるわけではありませんが、放っておいてもお金を生み出してくれる意味では利用する価値はあるでしょう。
同様に、イラストレーターならコミュニケーションアプリ「LINE」でオリジナルスタンプを販売する、というのもストックビジネスとして知られています。しかし膨大な数のスタンプがある中で実際に利益を上げられている人は少なく、海外ユーザー狙いにするなどかなり戦略をたてる必要はありそうです。
日々、なかなか思うような収入が得られず将来に不安を持っているなら、年収1,000万円を実現しているフリーランスをお手本に、働き方や意識改革をしてみる必要があります。実際に1,000万円を手にできるのはほんの一握りの人かもしれませんが、決められた給与を手にするサラリーマンより、フリーランスの方がよっぽどチャンスはあるはずです。
しかし「月に100万円稼ぐ方法」や「必ず儲かるノウハウ」などとして、情報商材を売りつけたり、セミナーへの参加を呼びかけたりするものには注意が必要です。また違法ではないからと「ネットワークビジネス」(マルチ商法)への参入もよく呼びかけられていますが、簡単に大金が手に入る、という類のものは得てして大きなリスクを伴います。儲けを出すことばかりに着目しすぎて道を踏み外さないよう、常に自戒する姿勢も持ち続けたいものです。
参照:フリーランスエンジニアの年収を徹底解説した記事はこちら
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