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フリーランスの男性は結婚願望が低い?

Web事業やIT関連の仕事を中心に、若くしてフリーランスの道を志す若者が増えてきました。厚生労働省の人口動態調査によると令和2年(2020年)の平均初婚年齢男性が31.0歳、女性が29.4歳で、フリーランスになった20~30代の若者でも遅かれ早かれ、結婚をどうするか、という問題に直面します。

フリーランスの結婚事情に特化した調査はありませんが、内閣府の平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書では、「正規雇用」と「非正規雇用」に分けてそれぞれの結婚観の違いを見ることができます。

たとえば、「すぐにでも結婚したい」や「いずれは結婚したい」など結婚する意志のある男性は「正規雇用」が約79%だったのに対し、「非正規雇用」は約62%と下回っています。一方で女性は、「正規雇用」が85%で「非正規雇用」も81%だったことから、さほど大きな差は出ていません。

これは、非正規雇用で収入面などに不安がある男性は結婚を考えにくい、というデータの表れだと予想されます。「結婚相手にめぐりあえるよう努力するかどうか」という質問でも非正規雇用は正規雇用より割合が低かったことから、自分から積極的に出会いを求める姿勢も乏しいようです。その反面、女性は自分の雇用状態に関係なく結婚に対して8割以上は前向きで、むしろ結婚相手の経済状況に関心が向いていると考えられるでしょう。

参照:厚生労働省「令和2年 人口動態調査」

フリーランスを結婚相手として前向きに考える女性も!

一方、中にはお付き合いしている男性がフリーランスで、結婚して大丈夫かどうか迷っている女性も多くいます。では一般的に女性は、どのような観点で結婚相手を選んでいるのでしょうか。

女性向け総合サイト「マイナビウーマン」は2015年6月、22~34歳の働く女性240人を対象に、結婚相手の男性に求めるものは「働き方」か「年収」か、というアンケートを実施しました。その結果「働き方」と回答した人はおよそ6割、一方の「年収」はおよそ4割となりました。「働き方重視」という人は、今は高収入でも年収に上がり下がりがある不安定な仕事は不安、という声が多いことから、「とにかく安定した立場の正社員で働いてほしい」という願いが見え隠れします。

一方で「年収重視」派は、しっかり稼いでくれるなら雇用形態にはこだわらない、という意見が多く、「働き方重視」派とは考え方が真逆です。この中には、組織に所属していなくても実力がある人なら自分もサポートしたい、といった声や、正社員でもクビになる時代なので自分の力で稼げる方が良い、というフリーランス肯定派の声もありました。

つまり割合は少ないものの、結婚相手は「正社員や公務員でなければ」という安定志向の女性たちだけではないことが分かります。ただし、あくまで「年収重視」ですから「稼げる」フリーランスかどうかは、シビアに判定されそうです。

結婚したら税金はどうなる?扶養に入る選択とは?

フリーランスが結婚し、結婚相手の年間所得が38万円以下なら「配偶者控除」が受けられるようになり、自身の節税につながります。また、配偶者の年間所得が38万円を超えても76万円未満なら「配偶者特別控除」が適用されます。

一方、フリーランスは年金や健康保険など「社会保険」を自分で負担する必要がありますが、もし結婚相手が会社に勤めている給与所得者なら扶養に入る、という選択もあります。扶養に入ると年金や健康保険も保険料を支払わず加入できるのが大きなメリットですが、扶養の認定については各会社で基準や手続きが異なるので問い合わせる必要があります。保険組合によって、自営業は所得に関わらず扶養に認定しない、というところもありますので、注意しましょう。

また会社によっては、配偶者の給与に「扶養手当(家族手当)」が加算されることもあります。扶養手当は前年度の収入が高すぎると認められないこともあるので、この点についても会社で確認が必用です。

一方で結婚相手が給与所得者ではない場合は、国民年金や国民健康保険の支払いは2人分に増えて負担感が相当大きくなります。国民年金や国民健康保険の保険料は全額「社会保険料控除」の対象となるため、確定申告をして節税したり、割引のある前払い制度を利用することで少しでも負担を減らしたいものです。

青色事業者専従者の適用も考える

配偶者控除や配偶者特別控除での節税という方法だけでなく、青色申告で確定申告を行っているなら「専従者給与」の適用も考えてみましょう。

青色申告では生計を一緒にしている配偶者を「青色事業専従者」と届け出れば、給与を支払えるようになるのをご存知でしょうか。その給与は経費として計上できるため、結果的に節税につながることになります。すでに青色申告の届け出を出している人は「青色事業専従者給与に関する変更届」で追加する専従者を届け出ればOKです。

ただし、青色事業専従者になるには「原則として6ヶ月以上、青色申告者の事業に専念していること」という条件があります。「専従」という言葉からも分かるように、他で仕事をしている場合は認められません。また、配偶者が青色事業専従者になると「配偶者控除」の対象にはならないことも覚えておきましょう。

「社会的信用の低さ」もデメリットだが…

結婚して新居を用意しようと思ったものの、賃貸を借りたり、住宅ローンを利用したりするときにフリーランスだと社会的信用が低く、なかなか契約させてもらえない、というデメリットもあります。

給与が保障されているサラリーマンに比べれば社会的信用が低いのは仕方ありませんが、フリーランスだから住宅ローンや賃貸契約が結べない、というわけでもありません。きちんと支払い能力があることを証明できれば、決して不可能ということではないのです。

収入を証明するためには、納税証明書や確定申告書の写しなどが必要となります。そのため節税を目的に経費を多くして収入額を少なく申告していると、いざというときに賃貸やローンの契約が結べない、という事態になるので注意しましょう。

名字が変われば事業者名は変えるの?

フリーランスが結婚して名字が変わっても、開業届で提出している事業者名を変更せず、旧姓のまま活動を続ける人もいます。旧姓はいわばビジネスネームみたいなもので、便宜上そのまま使っても構いませんが、支払調書や確定申告の書類などに記載されるのは実名です。また銀行口座を新姓に変えると、振込先として使っていた場合に仕事をした人の名字が違う、ということで混乱を与える恐れもあります。

旧姓にするか新姓にするか、の選択は結婚した直後が適切なので、ビジネスの状況に応じてよく考えてみましょう。

多様な働き方が実現できる社会へ

フリーランスは収入や社会的信用の面では不安定な立場にあると言わざるを得ず、結婚を機に正社員への転職を目指す人もいます。しかし多様な働き方への理解も広まりつつあり、「夫は家で、妻は外で働く」という逆スタイルや、生活費の安い地方に移住して家事も育児も分かち合いながら暮らしたい、といった希望も増えているのも事実です。

実際に、内閣府の平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書では、家事や育児を「夫の方が多く負担する」、「どちらも同じくらい負担する」と答えた男性は、「正規雇用」より「非正規雇用」が上回りました。

若い世代は会社で安定した生活を送ることだけが幸せではない、ということをよく知っています。もちろんフリーランスとして収入を得ていく努力や、不安定な状況にも負けないタフさは求められますが、決して将来、結婚できないといったことはないはずです。何よりフリーランスは、家族との時間を大事にしたい人には最適な働き方の一つであることは間違いありません。最近は「主夫」という言葉も抵抗感なく使われるようになり、学校のPTAや町内会の活動にも積極的に関わる男性が増えていると新聞などでも報道されています。多様な働き方が実現する社会には、フリーランスの存在も欠かせないのではないでしょうか。

一つ一つクリアにしていけば、決してデメリットばかりではないフリーランス。固定概念にとらわれず、結婚しても自由な発想で働き方、暮らし方を“自分メイド”してみませんか。

参照:フリーランスが結婚の際に考えておくことについて解説した記事はこちら

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