「パタンナー」という職業をご存知でしょうか。ファッション業界にはなくてはならない職種ですが、業界では慢性的に人手不足な職種だと言われています。
パタンナーには女性が多く、結婚・出産など環境の変化で退職する方も多いのですが、仕事が再開できるようになってから、企業に復職したり、フリーランスとして活動を始めたりする方も多くなってきました。
ここでは、
- 現在企業にお勤めのパタンナーの方でフリーランスを目指したい方
- これからパタンナーとして働きたいと思っており、将来的にフリーランスという働き方を考えている方
という方々に向けて、会社員とフリーランスの違いや、フリーランスになることで得られるメリット、また成功するために気をつけたいポイントまで、現役フリーランスである筆者が幅広くご紹介してみたいと思います。
アパレル業界を支える「パタンナー」
パタンナーとは、洋服の型紙である「パターン」を起こす職業のことをいいます。
洋服は、ファッションデザイナーが描いたデザイン画をいきなり縫製工場に持っていっても、製品にすることはできません。
デザイナーの企画したものを忠実にカタチにするためには、パタンナーの力が必要になります。パタンナーの方が型紙を起こしてサンプルの制作を行い、使用する生地やボタン素材、ラインやシルエット、着心地の確認をして、さらに量産用のパターンを作成していきます。
職人的な側面が強く、非常に専門的な知識が必要な職業のため、全くの未経験の方が独学でパタンナーになることはほぼ無理でしょう。
特別な資格などはありませんが、現在パタンナーとして働いておられるほとんどの方は、専門教育を受けた上、アパレルメーカーのパタンナーとなって経験を積んでいる方々ばかりです。
現在フリーランスのパタンナーとして活動されている方でも、ほとんどの方がメーカー等での経験を積んだ上で独立しており、専門学校を卒業後いきなりフリーランスとして活動されている方はごく稀でしょう。
また企業の規模によっては、デザイナーがパタンナーも兼任することもあります。
フリーランスになるとどんないいことがあるの?
1.自分との戦いに集中できる
「自分との戦い」と言うと大げさに聞こえますが、クライアント(デザイナー)との折衝以外では、自分の作業に集中することができるのもフリーランスの良いところではないでしょうか。
また筆者は、一人で黙々と作業をすることが好きなので、仕事に関係ない余計な部分で気を使わなくて済むという点も気に入っています。
例えば、会社内の人間関係に振り回されることもないですし、周囲の噂話などの雑音に惑わされることもありません。他人と自分を比べて落ち込むこともありません。
悩んだり苦しんだりすることは、全て仕事であるパターン制作に関することだけ。つまり自分との戦い、というわけです。これだけで、かなりストレスから解放されました。
ただ、寂しがり屋の方は、フリーランスになると愚痴を言い合う仲間がいなくなるので、ちょっと寂しいな、と思うかもしれませんね。
2.自由人になれる
会社員は、ご承知の通り勤務時間の拘束があります。有給休暇以外は休日も決められており、基本的に就業規則で決められた通りの条件で勤務することが原則になります。
フリーランスになると、勤務時間も休日もすべてが自由に決められます。
ただ時間が自由になれば、その分自分を律するためにいろいろな工夫が必要にもなりますが、それでも働く場所や時間が自由になるメリットには変えられないと思っています。
3.報酬が違う
会社員の場合、ある月に一人で1,000万円の売り上げをあげたと仮定しても、その月の給料は先月と同様で、いくらかの残業代がつくのみというのがほとんどではないでしょうか。インセンティブがつけば良い方でしょう。
フリーランスの場合、毎月決まった額の収入はありませんが、仕事の量や受注額次第で多額の報酬を得ることも不可能ではなくなります。全ては本人次第、と言えます。
パタンナーの場合、特殊な技術が求められる職業ですので、腕を磨いていけば安定した収入を得ることも可能でしょう。
ただし、最近はアパレルCADなどの知識も求められるようになっていますので、様々な仕事を受けるためには新しい技術の追求は続けていくべきでしょう。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
フリーランスパタンナーとして成功するためのヒント
それでは、パタンナーがフリーランスとして成功するには、どういったポイントに注意すればよいのでしょうか。
パートナーをみきわめろ!
人付き合いをしていく中で、「友達としては素晴らしい人でも、一緒に仕事をするのは・・」という経験をしたことはありませんか?
フリーランスが仕事をしていく際には、「誰と組むか」、「誰の仕事を受けるか」ということが非常に重要になります。
問題が起こった時や失敗した際に個人が負わなければならない責任は、会社員よりフリーランスの方が圧倒的に大きいからです。
筆者の失敗談として、残念ながら組む相手を間違えたな、ということがありました。
フリーランスとして始めたばかりの頃の案件で、「知り合いだから」ということで業務の内容や契約内容を口約束でしてしまい、報酬の件で揉めることになりました。
業務の内容も、仕事が進むにつれてあれもこれもとどんどん増えていき、最終的には最初の見積もり金額ではとても合わない業務量になっていました。
また、自身で受けた仕事を、別の方に手伝ってもらう場合も注意が必要です。
依頼主のスキルや仕事に対する姿勢をきっちり見極めておかないと、出来上がってきたものを見てビックリしてしまうこともあります。
みなさんはこのようなことにならないように、約束事は最初に発注書、縫製仕様書などでしっかりと詰めておきましょう。
知り合いであればあるほど、こういった話は相手に面倒がられることもあります。しかしそこは後々のため、うまく交渉していくべきです。
パタンナーは専門職!確かな技術さえ身につければ一生モノの仕事に
パタンナーという仕事は、一朝一夕に始められる仕事ではありません。専門学校で技術を習得し、アパレルメーカーで先輩の仕事を見て実務経験を積んで、初めて一人前になれる専門職です。
だからこそ、貴重な職業だとも言えます。確かな技術を身につけてフリーランスとして活動を始めれば、一生働ける仕事でもあります。
誰でも簡単になれないからこそ、仕事に困る可能性も少ないでしょう。時代に合わせてアパレルCADなども導入すれば、さらに仕事の幅は広がります。
アパレル業界に一生関わっていきたい、という方はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。
参照:フリーランスパタンナーとして活躍するためのポイントを解説した記事はこちら
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