大きな概念というものは、大きすぎてわかりにくい半面、非常に大事な根底の要素を含んでいるものです。
「エンジニアリング」という概念も、工学という英語であるということはわかるものの、どういったものなのかを説明できる方は少ないのではないでしょうか?
そこでこの記事では、エンジニアリングの中でも、「情報工学(IT工学)」についてご紹介していきます。ITと工学がどのような結びつきがあるのか、実は現在では切れようが無いほど大事な組み合わせになっているのです。
参照:プログラミングと数学の関係性について解説した記事はこちら
情報工学とは?
「工学」というキーワードだけでは難しいイメージがありますが、システムを構築するために普段行っているフェーズが情報工学であると言い換えることができます。
情報工学は、ただ商品を製作してお客様に納めるだけではなく、お客様のニーズをヒアリングして、意見を反映させるための設計を行い、具体的な製品を構築する。そして、場合によっては運用やサポートまで一貫して提供することまで含めることができます。
そして、情報工学を実現させるためには、お客様をはじめ、営業担当者、プロジェクトマネージャー、インフラエンジニア、アプリエンジニア、運用・サポート技術者など、幅広い職種の方々が結集して作り上げる必要があります。この集合体によって作り上げることが、「情報工学」なのです。
ITエンジニアリングによって、社会にどのようなプラス影響が与えられるか
車の自動運転もITエンジニアリングの力が不可欠
ITエンジニアリングは、社会に大きなプラスの影響を与えています。例えば、現在話題になっている「車の自動運転」。これは、ITエンジニアリングの力無しでは実現することはできません。
自動車メーカー各社が車の自動運転に取り組んでおり、日産はテレビCM内で自動運転のすごさを表現するなど、一般消費者に向けてのアピール合戦は既に始まっています。
また、2016年2月22日には、自動車部品メーカーのデンソーと、通信キャリアのドコモが提携して、ネットワークの規格であるLTEや5Gを使って車両制御システムの研究開発を進めていくと発表されました。
自動車関連の企業とIT企業が提携し、新たな社会インフラを構築していく。
これこそが、ITエンジニアリングの象徴と言えるのではないでしょうか。
IoTのプラットフォームがITエンジニアリングにより構築された
そして、ITエンジニアリングのもう1つの象徴と言える取り組みが、SORACOMという会社によって行われています。
SORACOMは、IoT(Internet Of Things)の通信課題に取り組む会社です。
Iotプラットフォームとして、モノをクラウド環境と繋げる仕組みを作っています。
センサーなどの物理デバイスに特定のSIMカードを取りつけることにより、ネットワークへ簡単に接続することができるため、センサーデータをクラウドへ自動格納出来るようになります。
これらデータを元に、BIツールなどでグラフを自動的に作成するなどが可能となります。これらはIoTの基盤となるサービスです。
このサービスは、パブリッククラウドの雄であるAWS(Amazon Web Services)の著名なITエンジニアであった玉川氏が独立して会社を設立し、開発・公開しているサービスです。実際にAWS上にサーバなどを構築してプログラミング化することで、IoTプラットフォームを作り上げました。
利用者は、非常に安価で利用することができるため、IoTに対する敷居も大きく下げることができたと言われています。このように、ITエンジニアリングの力で、社会の仕組みを大きく変えることができるのです。
ITエンジニアリングの維持、発展には必ず優秀なエンジニアが必要
ITエンジニアリングは大きな力を持っていますが、維持や発展のためには、必ず優秀なエンジニアが必要となります。
日々、新しいサービスを引っ提げて、ITベンチャー企業が創業し事業を展開していますが、これら多くの企業は優秀なITエンジニアを採用できないという悩みを抱えています。
転職エージェントやWantedlyのような求人サイトが多く存在しているものの、求人広告を公開しても、会社の知名度が低い場合、なかなか優秀な人材は集まってきません。
革新的なサービス、市場に多大な影響を与えるITエンジニアリング企業は、マニュアル通りに動くことしかできない、独創性が無い、自主性が無いITエンジニアを求めていません。
時代の流れに沿って、新しい技術の習得へ貪欲に取り組んだり、高いプログラミング技術などを駆使して、具体的な成果物に昇華させたりできるようなITエンジニアが求められています。
このような優秀なITエンジニアは希少性がかなり高いため、オファーされる条件も自然と高くなってきます。特に報酬こそ、ITエンジニアへの評価として分かりやすい指標でしょう。
社会にプラスの影響をより大きく与えるためには、エンジニアが力を発揮できる環境が大切
日本国内ではITエンジニアが不足していると言われていますが、現状、国内のITエンジニアが不足している原因と解決策は提示されていません。社会にプラスの影響をより多く及ぼすためには、ITエンジニアが力を発揮できる環境の整備が急務と言えるでしょう。
ここでは二つの課題を挙げ、それぞれの解決策について考えてみたいと思います。
ITエンジニアに対する負荷を軽減させる
IT業界は、世の中からも技術向上を求められる業界となっていますが、労働状況は厳しい現場が多くなっています。それは、アプリエンジニアもインフラエンジニアも同様です。会社に勤務していると、36協定という労働時間に制約を設ける仕組みがありますが、管理者が何もせずにほっておくと、すぐに規定労働時間をオーバーしてしまう状態です。これも、ITエンジニアの不足から来ている現象でしょう。
「やわらか成長戦略」の中でも取り上げられていますが、まずはITエンジニアの労働時間をある一定の範囲に抑えることが大事です。その結果、ITエンジニアの技術成長や勤務年数を伸ばし、さらには「IT業界はつらい」という世間のイメージを脱却することができるのではないでしょうか。そこから、今後人数が少なくなる貴重な若い労働力を確保できることにもつながるでしょう。
まずは、現在頑張っているITエンジニアの勤務環境を改善することが、ITエンジニアリングの発展に不可欠と考えることが出来るのではないでしょうか。
女性のITエンジニアの活躍が不可欠
「ITエンジニアは男性」というイメージが強いかもしれませんが、新卒段階では数多くの女性がIT業界に入ってきています。そして、男性よりも女性の方が、独創力がありITに関する技術の理解も早い傾向があります。ただ、IT業界の労働環境が厳しく、柔軟な働き方が難しいため、結婚や出産という大きなライフイベントを迎えると、IT業界から離れてしまうことが多くなっています。
この貴重な人材をIT業界から離れさせないことも、今後大事なポイントとなります。そのためには、保育所問題の解消、短時間労働・リモートワークなど柔軟な働き方ができる会社の仕組みが導入される必要があるでしょう。
まとめ
ここまで、「ITエンジニアリング」という大きな概念についてご紹介してきました。ITエンジニアリングに対する世間の要請は大きくなる一方、要望に応えることのできる優秀なITエンジニアは少ないことが現状です。
裏返して考えると、「優秀なエンジニア」の分類に入ることができれば、高い給与で充実したやりがいのある仕事ができるチャンスが待っているということにもなります。
あなたはITエンジニアリングの大きな流れをどのように捉え、どんな行動を取っていきますか?あなたの今の選択が、今後の将来における大きな分岐点になるかもしれませんね。
参照:プログラミングと数学の関係性について解説した記事はこちら
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