クラウドワークス テックを利用して活動している、「輝くフリーランス」の実情をご紹介するインタビュー。今回は、ITエンジニアとしてご活躍なさっている、白井智也さんにお話を伺いました。
挫折や失敗を乗り越えて、フリーランスとして輝く白井さんの努力の軌跡をご紹介します。
白井 智也(しらい ともや)
横浜国立大学工学部電子情報工学科情報工学コースを経て、フリーランスエンジニアとして独立。ベンチャー企業でWebサービス開発に従事しながらクラウドワークスにて開発案件を受託し、2016年にクラウドワークストップクラス名鑑に掲載。
エンジニアとして働く傍ら、社会人向けのプログラミング講座を運営して年間400名を教える。「全ての人が高度な技術を活用して問題解決できる未来を創造する」ことを掲げ、2017年株式会社スタック&ソリューションズを創業。
在学中からフリーランスとして活動!当初は何をやっても仕事が取れなかった…
─ フリーランスになった経緯と現在のご活動について教えてください。
もともとプログラミングを始めたのは大学からです。
実は26歳の年まで働きながら大学に通っていて、大学を卒業するタイミングでフリーランスエンジニアとして独立しました。
現在はフリーランスエンジニアとして大手ベンチャー企業で働きながら、自社のプログラミング教育サービスを進めています。
─ 学校を卒業してすぐに、フリーランスエンジニアになったのですか?
19歳のときに色々とこじらせてしまいまして、一度入った大学を中退して1年ほどフリーターをしていました。ある時、このままじゃまずいと思って受験勉強をしなおし、地元の国立大学に入学しました。この時点で既に21歳になっていたため、「手に職があった方が良いだろう」と思い、それまで何の興味も無かった電子情報工学系の学部に入り、そこで初めてプログラミングに触れました。
転機が来たのは4年生の就職活動で、色々な会社を回っていくうちに「みんな会社に入ることばかり考えているけど、他の働き方は無いのだろうか?」と疑問に思いました。そうした方向に進む人の実態が知りたいと思ってセミナーなどに参加していくうちに、独立という選択に強い興味を持ちました。
とはいえどんな仕事をするにしても、まずは売るものがないと駄目だということは分かっていたので、自分の身の周りの「売れそうなもの」として、プログラミングスキルを磨こうと考えました。それから人づてに聞いたり調べたりやってみたりした感触で、「最初は苦労はしそうだけど何とかやっていけそうだ」と思い、持っていた内定を辞退してフリーランスとしての活動を始めました。
そこで社会の厳しさを知ったんです。
─ お仕事が思うように取れなかったんですか
はい、ある程度は覚悟していたのですが、本当に何をやっても取れませんでした。何度も提案をしても全く成果が出ず、貯金も心配になってきたので、「何故、失敗するのか?」をひたすら考えました。
当時、どういうわけかプログラミングにある程度の自信があったので、「何でもできます!」と言って提案をしていたのですが、全く相手にされませんでした。もしや仕事が取れない理由はココにあるのでは?と考え、提案内容そのものの試行錯誤を繰り返しました。
それからは案件を取るためではなく改善のために提案をすることにし、「何を言ったら相手に響くのか」「相手は何を求めているのか」をひたすら考えて提案と反省を繰り返しました。当時からオンラインで仕事を受注できるサービスはあったので、数多くの提案を積み重ねて徐々に感触を掴んでいきました。
─ フリーランスとして最初のお仕事はどんな内容でしたか?
苦闘3ヶ月でようやく初案件が取れました。最初の案件はWordPressを使った不動産物件検索サイトの制作です。
当時、WordPressがとても人気があるということを耳にしまして、試しにいくつかサイトを作ってみたところ「これならいける」と自信を持ち、WordPressでのサイト構築に特化した提案を始めました。
この頃に提案では「自分が何をできるかを話すこと」ではなく、「クライアントが直面している課題に真剣に向き合い、『自分なら解決できること』を徹底的に突き詰めていくこと」が大事であるということに気づきました。
結果、そのことを意識して提案をしたことで、初めて案件が受注できました。提案の段階で答えが出ていたので、スムーズに納品まで作業ができ、2週間のお仕事で30万円ほどいただいたと思います。
このWordPressの一件で自信がついて、徐々に仕事が取れるようになりました。
仕事が軌道に乗って、エンジニアとしてのスキルを磨きながら起業への道を歩み始める
─ そこからどんなお仕事に携わったのですか
数年は個人事業として開発関係の受託をしながら生活費を稼ぐ一方で、Webサービスを作っていました。このWebサービスが泣かず飛ばずで精神的にジリ貧になっていき、徐々に受託開発ばかりになっていきました。
受託開発では個人単位のものから大きな企業の案件まで様々なお仕事に関わらせていただきました。また、新人研修のお仕事もカリキュラム作成から関わらせていただきました。学生時代からプレゼンが得意だったので活かせると考えたのですが、講義そのものよりもクライアントの要望にキャッチアップするのがとても大変でした。
─ その頃はどうやってお仕事を受注していたんですか
従来のように提案によるお仕事の獲得と、エージェントに紹介していただいたベンチャー企業に常駐していました。受託開発に専念しようと思ってから継続的に開発のお仕事が欲しくなり、エージェントに登録して勤務先を紹介してもらいました。経歴が変わっているので、エージェントの方との初面談では苦い顔をされた覚えがあります。
ところがいざクライアント面談に行ったところ、経歴に目をつけていただき一発採用されました。その会社は後に上場するなどの勢いがある会社で、とにかく色々な人がいて楽しかったですね。
─ エージェントを利用するメリットを教えてください
こちらの要望を聞いて適切なクライアントとの仲を繋いでくれることですね。後は世の中の技術動向に詳しい方が多いので、社会目線でどのような技術を身に着けておくと良いかを教えてくれるので勉強になります。
─ はじめて常駐した企業には1年半在籍なさったんですね
ベンチャー企業での開発が当時の自分には異世界に見えてとても新鮮でした。それまで自分が大切だと思っていたことが尊重されない世界でもあり、良くも悪くもエンジニアとしての価値観が変わりました。
現場のスキルレベルに合わせるため毎日必死に勉強をして、何とか他の人と同じくらいの基準で仕事をこなすようになっていきました。
ある時会社に新しく業務委託のエンジニアが入ってきて、彼とバーターで開発に着手したのですが、とても優秀で衝撃を受けました。周囲からの評価もうなぎのぼりの彼を見て、自分が彼に対抗できる手段はあるか?と考えたところ、自分の掘れる穴を掘ろうと考えました。
─ そこからクラウドワークスを通して仕事をたくさん受注するようになったんですか
「成長のためにはもっと自分に負荷を与えたほうが良い」と思ってクラウドワークスを利用した提案活動を始めました。
案件は順調に取れたのですが、当時は常駐でのお仕事と並行となり、週末や平日夜を利用して作業を行いました。本当にもう死ぬかと思うぐらい忙しかったですね。
クラウドワークスは受注金額の合算値から月間ランキングというものが出るのですが、ここで6位や8位というある程度目に見える実績ができたタイミングで常駐の契約が満了しまして、タイミング良く再出発できました。ここからはしばらく一人で活動していました。
─ 一人での活動を通して気が付いたことってありますか?
一人になってチーム開発の良さに改めて気が付きました。
得意な人に得意な仕事をしてもらった方が、明らかに効率が良いです。
─ ITエンジニア向けの講座を開いたのもこの頃ですか?
フリーランスエンジニアとして活動をしていく中で、自分の得た知識やスキルをもっと色々な方向で活かすことに興味が沸きました。
そこで、「ストアカ」というサービスを使ってプログラミング講座を企画し、週末にレンタルスペースを借りてプログラミング講座をはじめました。
生徒の人数は5~15人程度で、社会人になってからプログラミングスキルを身に着けたいという方が多いですね。
─ お忙しそうですね
立ち上げ時に仕事がない状況の恐ろしさを知っているので、どんどん仕事を入れてしまいます。
とはいえ最近はバッファとして週に一度の休日を作るようにして、作業超過分をその休日に消化できるようにすることでバランスをとっています。
フリーランスとして戦うにも勉強は大事!視野を広げ、プログラミングだけでなく「経営」にも目を向ける!
─ 勉強はどのようになさっているんですか?
仕事は時間を投下した分だけできるようになると思っているので、インプットを大切にしています。学んだことを実際に試してみて感触を確かめるまでが勉強だと考えています。
エンジニアをしているとコードを書くことだけが勉強だと思われがちですが、対人スキルや経営に関する考え方も大事だと考えていて、幅広く学ぶようにしています。最近はその手のセミナーに参加するなどしていますね。
─ 白井さんの考えるフリーランスのメリットを教えてください
「時間裁量」が一番です。仕事をするのが好きな人、とにかく仕事をして稼ぎたいという人にとって、仕事が飽きるほどたくさんできるというのは本当に大きなメリットだと思います。
─ 今後のキャリアプランを聞かせてください
全ての人が高度な技術にアクセスし、問題解決ができる未来を創造したいと考えて会社を設立しました。
PMとして会社の事業を育てつつ、業務委託で他社のサービス開発に関わりながら、エンジニアとしてのスキルを磨いていきたいです。
─ 最近注目している言語はありますか?
仕事で使っているRubyを始めとして、ScalaやKotlinなどトレンディな書き方でJavaっぽいことができる言語に注目しています。
これらの言語は需要過多なので、エンジニアとしてはやりがいがあると思います。Ruby on Railsをはじめとして、関連するフレームワークも秀逸ですね。
─ 本当に勉強熱心なんですね!
そういえば「勉強」で思い出したのですが、個人が教育系の動画を配信して販売できる海外のサービスを使って動画講座を展開してみようと思っています。
リリースを目指して、鋭意制作中なんですが、ビデオの前で話すと感覚が違うんですよね。
とはいえ、これを乗り越えると遠方にいる方でも好きな時に受講していただけるようになるので、頑張りたいと思っています。これも余談ですが、世の中にはそういうコンサルタントもいるんですよね。
─ どんな本を読んで勉強をしたのか紹介していただけますか
プログラミング関係の勉強はもちろんたくさんやりましたが、一番役に立ったのは「経営」に関する勉強だと思います。経営が現場の方針を決めるので、背景を読むことが大切です。
マイケル・ポーターの「経営戦略論」にはじまり、デールカーネギーの「人を動かす」、スティーブン・R・コギーの「7つの習慣」など、経営そのものだけでなく、経営層の人たちが読んでそうな本を読み、読むだけでなく試していくことが大切だと思っています。
─ これからフリーランスを目指す人にアドバイスをお願いします
フリーランスであること、そのものは大事ではないと思います。
人生の中で通過点に過ぎないので、そこをゴールとして目指すものではないと考えています。「何故、自分がフリーランスをするのか」という「根拠」や「目的」を、まずは良く考えてみるといいと思います。
─ 成功の秘訣は?
成功している訳ではないので偉そうには言えないのですが…「お客さんをよく見て、仕事を発注する背景をみる」ことだと思います。そのためには勉強をして、社会の動きに敏感になることです。
社会の動きにはニーズが隠れているので、見つけたニーズに対して「自分ができることは○○です」というベースで提案ができると良いですね。
─ 最後に、エンジニアとして大切なことを教えていただけますか
大切なのは、「自分の可能性を制限せず、果敢に社会課題に挑戦すること」だと考えています。
エンジニアは問題解決のプロフェッショナルであるべきで、従ってエンジニアリングの思考とは問題解決の思考であるべきだと考えています。
プログラミングはあくまでも手段なので、これが書けるからエンジニアであるとは言えませんが、プログラミングを学ぶことで、社会的・組織的な課題にも立ち向かうチャンスが増えると思っています。
小学校からプログラミング教育を導入することになったのも、そういう目的があるからなのかもしれませんね。
たまたま今の世の中ではそういう仕事をしている人の社会的な区切りが「エンジニア」というだけで、別にエンジニアに限った話でもないと考えています。皆さんも是非、プログラミングを学んでみて下さい。
プログラミング講師として、多彩なプログラミング言語を教えている白井さん。
向上心を持ち、勉強を続ける白井さんですが、たくさんの「挫折」や「失敗」を乗り越えてきました。
ご自身の経験を踏まえて、「失敗はたくさんしましたが、恐れてもいいと思うんです。私も失敗は怖いし、怖いからこそ対策をしっかりとする。失敗をしたことから学び、トライ&エラーを繰り返すことが大切だと思います」と聞かせてくださったのが印象的でした。素敵なお話をありがとうございました!
白井さんの講義を受けることができるストアカはこちら
参照:ファッション業界からWEBデザイナーへ転身した方のインタビュー記事はこちら
この記事の著者 by あおみ ゆうの 制作集団ことのは代表 ライター/ディレクター お酒と紅茶とブッフェと編み物と漫画が大好き クラウドワークス:あおみ ゆうの |
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