昨今フリーエンジニアの増加に伴い、フリーエンジニアになりたいと考えるエンジニアやフリーエンジニアと一緒に仕事をしたいと考える企業の方も増えてきました。その時に気になるのは単価や相場です。
フリーランスになる以上、安定を手放すわけですからそれ相応の報酬を望むのは当然です。企業としてもフリーエンジニアと一緒に仕事をする目的はスキルだけではなく、コスト削減なども視野に入るでしょう。
この記事ではフリーエンジニアの単価相場について調査した結果をお送りします。
さて、望む報酬をゲットできるでしょうか、その可能性は?ぜひご覧ください。
参照:フリーランスエンジニアの年収を徹底解説した記事はこちら
職種別単価相場リサーチ結果はこれだ!
フリーエンジニアといっても職種は様々です。この記事では職種を次の5つに分類しました。
- web、オープン系
- 汎用、制御系
- インフラ、運用、基盤系
- 開発ディレクター
- 開発支援(ドキュメント作成など)
ではさっそく、次の表のリサーチ結果をご覧ください。
表1 フリーエンジニア職種別単価相場リサーチ結果(2015年11月)
職種 | 契約金額 | 上流工程 | 下流工程 |
Web、オープン系 | 60〜90 | 70〜90 | 60〜80 |
汎用、制御系 | 50〜80 | 組込系 80 | 汎用 50〜70 |
インフラ、運用、基盤系 | 60〜80 | 60〜80 | 60〜70 |
開発ディレクター | 80〜100 | 60〜100 | – |
開発支援 (ドキュメント作成等) | 40〜60 | – | – |
(単位:万円)
ご覧いただいてのとおり職種間は大きなばらつきはありませんが、webオープン系や開発ディレクターは報酬が底上げ気味でおよそ70万円〜100万円です。逆に汎用制御系は50万円〜80万円と若干低めとなっています。
全体としては40万円〜100万円ですから、フリーエンジニアの日給は2万円〜5万円、時給換算で2500円〜6500円あたりのようです。
次に一つ一つの職種でどのような要因で報酬が上下しているかを解説します。
web・オープン系の単価相場を解剖
web、オープン系の人月単価は70万円〜90万円でした。調査によるとPHP・JAVAといった言語では特に際立った差異は見られず、業務内容で差があることがわかりました。また多くの案件で条件にJAVAが求められていることも特徴です。
70万円〜90万円クラスの業務で求められている内容は「分析支援」「上流工程経験者」といったデータマイニングや要件定義などのスキルが求められることが多いようです。また設計製造担当者の場合も英語のコミュニケーションが必須、スキルに見合う報酬にするなど、エンジニアとしての付加価値や報酬に対する相応の条件が求められます。
逆に60万円〜80万円クラスの案件の場合は、一般アプリ、webサービス、webサイト開発といった設計製造担当者を求めている案件が多いのが特徴です。さらに多くの案件でJAVAを必須としています。他の言語(C#、VB.NET)が求められる案件の場合は65万円〜70万円とJAVAに比べると単価が頭打ちになっている傾向が見られます。
汎用、制御系の単価相場はどうか
汎用、制御系の人月単価は50万円〜80万円でした。80万円クラスの案件はほぼ全てが組み込み経験必須となっています。つまり組み込み系のエンジニアの単価はその専門性から下支えされている可能性があります。
また汎用系ではC++、COBOLといった言語が求められていますが、設計製造の案件の案件が大半を占めており人月単価は50万円〜70万円といったところのようです。レガシーの技術で他の言語や環境に比べて変化が少ない技術のため人月単価は他に比べると低めと予想されます。
インフラ、運用、基盤系の単価相場はスキル次第?
インフラ運用基盤系の人月単価は60万円〜80万円でした。70万円〜80万円クラスの案件はリーダー経験必須としているものが多く、やはり要件定義やマネジメントスキルは職種を問わず単価上昇の要因になることがわかります。
他の職種と比べて「スキルに見合った報酬」として契約金額が明示されていないものが他の職種に比べて多いのも特徴です。障害対応や運用中の不測の事態における対応力やサーバリプレイス、ネットワーク構築作業のような時間制限のある中でミスなく作業を完了させるような業務においては単価を事前に設定するのではなく、エンジニアのスキルに応じた支払いをしたいと考える企業が多いのかもしれません。
エンジニアとしては運用やサーバ、ネットワーク構築作業の経験など目で見てわかるスキルを携えておくことが有利ではないでしょうか。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
開発ディレクターの報酬は腕次第!
開発ディレクターの報酬は人月単価80万円〜100万円と他の業種と比べて高単価に設定されています。開発ディレクターという職種上、アナリスト・プロジェクトマネージャといった上流工程のスキルが総合的に求められることが考えられます。
実際の案件でもプロジェクトリーダー経験、コミュニケーションスキル、要件定義経験、設計経験などシステム開発における全ての領域の経験が求められていると言っても過言ではありません。これに加えて、プロジェクトリーダーへの指揮やコンサルタントとしての役割も期待する案件もあり、エンジニアの枠に収まらずビジネスパーソンとしても高いスキルが求められるため高単価に設定されているのでしょう。
開発支援(ドキュメント作成など)の単価
開発支援(ドキュメント作成など)の単価は40万円〜60万円と他の職種に比べて低い単価設定となりました。この職種にはPMO支援など補助的な業務も含まれています。いずれもシステム開発上重要な職務ではありますが、設計や製造といった動くものを作成する業務に比べると単価は低く設定されているようです。
高い単価を狙うのであれば、ユーザとの折衝や設計プログラミングといった目に見えるスキルと経験を培っておくのが良いと言えるでしょう。
役割別単価のリサーチ結果
職種別に報酬をご覧いただきました。次に役割別の単価相場の調査結果をご覧ください。
表2 フリーエンジニア役割別単価
アナリスト | 700000〜900,000 |
プロジェクトマネージャ | 600,000〜1,000,000 |
アーキテクト | 700,000〜900,000 |
デベロッパ | 400,000〜700,000 |
(単位:円)
アナリストやプロジェクトマネージャがトップクラスの報酬で、職種別の単価相場を見た時と同様に要件定義や問題範囲の策定といった上流工程は単価が高くなるようです。
さらにプロジェクトマネージャの最高単価が突出していますが、これはプロジェクトマネジメントの中でも、大規模プロジェクトや複雑なプロジェクトをマネジメントできるプロジェクトマネージャに対して与えられている報酬相場です。
稼げるエンジニアになるための方策はこれだ!
ここまでを総合的にまとめると、どの職種や役割であれ顧客との調整やプロジェクト管理、関係部門の調整など関わるステークホルダーが多いほど単価相場が高いということがわかります。言い換えるとミスや責任の範囲が対外的にまで広がる重要な位置付けにある仕事だということです。
上の表で最も単価が低い役割はデベロッパでした。デベロッパも重要な仕事ですが、何か問題が起きた時の影響範囲は一概には言えないものの一般的には自PJや関係PJまでだと推測されます。
しかしながらアナリストやプロジェクトマネージャのミスはシステム開発に関係するすべての人や場合によっては全プロジェクト期間が無駄になってしまうかもしれないほど重大なものです。
よって、フリーエンジニアとして高い単価を目指すのであれば、大きな責任を背負って業務に励んだ経験、コミュニケーションスキル、マネジメントスキル、コーチングスキルといったエンジニアとしてのスキルにプラスしたヒューマンスキルを武器にすることが鍵ではないでしょうか。
またこれから稼げるエンジニアを目指す方は上流工程や対外的な折衝のような場面で積極的に手を挙げ、スキルアップを目指していくと良いでしょう。エンジニアスキルにせよヒューマンスキルにせよ、独立しなくても会社内や転職によって磨くことができるスキルだと思います。
日常の業務をその日の仕事として捉えるか、それとも将来に結びついた研鑽ととるかによって、フリーエンジニアとしての単価相場は変わってくるかもしれませんね。
あなたは毎日、どんなスキルを磨いていますか?
参照:フリーランスエンジニアの年収を徹底解説した記事はこちら
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