ここでは、「フリーデザイナーってどれぐらい稼げるの?」、「フリーデザイナーになりたいけど、まず何をすればいいかわからない・・」、「仕事の取り方がわからないし、フリーでもちゃんと生活できるの?」という方々へ、職業別の大まかな年収と、稼げるフリーデザイナーになるためのノウハウをひとつずつ解説していきましょう。
参照:フリーデザイナーになる前に知っておきたいことを解説した記事はこちら
企業勤めとフリーの違いとは?フリーデザイナーの仕事内容
まず、フリーデザイナーと、会社員であるインハウスデザイナーの違いについて見てみましょう。
1.フリーデザイナーの業務内容とメリット・デメリット
フリーデザイナーは個人であることが多いので、デザイン業務の他に、企業体が分担している営業、事務、経理、総務などのすべての業務も全て自身で行っていることが多いです。高収入を得ている方の場合、経理作業を税理士に依頼している方もたくさんいますが、駆け出しの頃から税理士に依頼する方は稀なため、最初のうちは、伝票整理や確定申告書類の制作も自分で行うことになります。
また、こなした仕事がすべて自身の収入になりますので、仕事を取ればとるほど収入がアップします。拘束時間の設定や、労働時間の制約もありませんので、仕事を早く終わらせれば余った時間をほかのことに使うことも可能ですし、昼間の都合が悪い日は夜中に仕事をしたりと、柔軟な時間の使い方をすることも可能です。
2.インハウスデザイナーの業務内容とメリット・デメリット
会社員デザイナーの場合はほぼその逆になります。自身の給料収入についての経理作業や確定申告とは無縁ですし、営業や総務などの仕事も、専門の担当者が行ってくれるため、デザインの仕事に集中することができるでしょう。健康保険も、社会保険や厚生年金に加入することが出来ます。
しかし、勤務開始時間や最低拘束時間が決まっている上、どれだけ多くの仕事をこなしても、給与は毎月一定のことがほとんどです。また会社によっては、社員旅行や各種行事、飲み会に顔を出したりと、ある程度プライベートの時間を削らなくてはならないこともあります。
フリーデザイナーには企業勤めの方々にないメリットがたくさんありますが、企業勤めのメリットはそのままフリーデザイナーのデメリットにもなります。
主なフリーデザイナーの職種と必要なスキル
冒頭で紹介したように、フリーデザイナーには様々な職種があり、それぞれで仕事内容も収入も違います。まず、職種別に仕事内容と必要なスキルや平均年収などを見た上で、仕事の取り方やさらに稼ぐためのヒントに触れていきましょう。
1.イラストレーター
イラストレーターは、紙媒体・電子媒体問わず、様々なカットやキャラクター、背景等を制作する職業です。紙と画材で描く能力の他、用途が電子媒体の場合は、PhotoshopやIllustratorで制作するスキルが必要です。
筆者の周囲の絵師たちの年収は、300万円に満たない方から5〜600万円までのゾーンが多いですが、人気イラストレーターになると、1,500万以上を稼いでいる方もいます。
2.Webデザイナー
Webデザイナーは、ウェブサイトの制作全般を請け負う職種です。ページのデザインが主ですが、ちょっとしたメールフォーム制作、サーバー管理やドメインの取得まで行うこともあります。Webのデザインには、Photoshop、Dreamweaverなどの制作スキルと、HTML・CSSなどのコーディングスキルも必須です。
大体の年収ゾーンは、300万円〜600万円前後が多いですが、多数の仕事量をこなしプログラムもできる方は、年収が1,000万以上になる場合もあります。
3.DTP・グラフィックデザイナー
DTPデザイナーは、紙媒体のデザインを行うデザイナーで、雑誌の組版を行う場合はエディトリアルデザイナーなどとも呼ばれます。広告、パンフレットなどのSPツール、商品パッケージなど、紙で作る物はほぼ何でも作ります。InDesign、Illustrator、Photoshopなど、印刷物のデザイン制作で必要なソフトを扱うスキルが必要です。
DTPデザイナーの年収は、イラストレーターやWebデザイナーよりも低めの300万円未満〜500万円前後がメインです。筆者の先輩デザイナーに、その昔景気の良い時期には800〜1,000万円以上を稼いでいた方がいますが、現在ではそこまで稼ぐのは相当難しいと聞きます。
フリーデザイナーの仕事の探し方
フリーデザイナーとして活動する場合、問題になるのが「どこから仕事を得るか」という部分です。
フリーランスになったばかりの頃は、「まず周りの人脈に頼る」という方が非常に多いです。多少能力が低かったとしても、人間は、知らないデザイナーよりもなじみのあるデザイナーに依頼するものです。自分はどんなものを作れる人間なのか、何が出来て何が出来ないのか、名刺やポートフォリオを作って周囲に積極的にアピールし、営業活動をしていきましょう。多数の人脈を持つ人に協力してもらうのも手です。
しかし人脈作戦にも限界がありますので、ネットも活用します。クラウドソーシングや、フリーランスを企業に斡旋するエージェントを利用すると、より効率的に仕事を探すことが出来ます。デザイナーとして経験の浅いうちは、クラウドソーシングのコンペにたくさん参加するなどして経験を積むとよいでしょう。
またエージェントを利用すると、月額契約や年契約、プロジェクト単位での契約がしやすく、ある程度安定した収入を得やすいと言えます。
クラウドソーシングの場合は、はじめの頃は人脈で受けた仕事よりも単価が低くなるかもしれませんが、実績を積み重ねていくとそれが形となって評価されるので、徐々に単価の高い仕事も受注できるようになります。
上記のように、仕事の受注方法はいくつか方法がありますが、大事なのは「継続性」です。フリーデザイナーとして信用を築き、継続して仕事を得て成功するためにはどんなことに気をつけるべきでしょうか。次の項で、「稼げる」デザイナーになるために重要なポイントをいくつか挙げていきます。
参照:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
稼げるデザイナーになるためのポイント1:仕事では、約束事を守ること
納期は必ず守る、見積を守る
フリーデザイナーとして失敗しないために一番重要なことは、納期の遵守です。納期を必ず守ることを続けていれば、徐々にフリーランスとしての信用を築くことができます。
また、顧客の予算の範囲内で希望に近いものを制作する方法を最大限考えましょう。見積書の作り方が大雑把すぎて、受注時に提示した見積書と、請求書の金額が大きく違うということなどもってのほかです。制作途中でどうしても必要な予算が増えた場合は、その都度必ずクライアントときちんと相談しておきましょう。
自身の「キャパ」を把握しておく
納期を守ることにも関連しますが、一度に仕事を取り過ぎないことも大事です。たくさん仕事を受注出来ればたくさん稼げますし、納期がばらけていれば何の問題もありません。しかし、いくらフリーランスは24時間仕事が可能ではあるといえ、睡眠時間ゼロで働き続けることはできません。たくさん受注はできたがどれも納期が間に合わずクライアントを失った、という最悪の状況にならないためにも、自身のこなせる仕事量を把握して、受注案件数をコントロールすることが求められます。
また、逆に顧客に「この仕事は、どれぐらいの時間でできるか」という質問をされることも多いため、自分の仕事のペースを把握しておくことも重要です。受注を取りたいがために、自分の進行ペースとかけ離れた日数を伝えてしまうと、結局間に合わずに信用を失ってしまう可能性もあります。
打ち合わせや、取材・撮影の立ち会いなどに遅れない
フリーデザイナー以前に、社会人として当たり前のことだと思われるかもしれませんが、フリーランスの場合はさらに注意するべきです。会社員の場合、万が一客先の打ち合わせに遅刻して上司や先輩に怒られても、一緒に顧客に謝ってくれたり、誰かがバックアップしてくれるでしょう。何らかのペナルティが発生したとしても、1回の遅刻だけでは解雇や懲戒免職ほど重いものになるとは考えにくいです。
しかしフリーランスは、たった一度の遅刻でも、そのまま本人の信用失墜に繋がります。クライアントによっては、二度と仕事をもらえなくなる可能性もあります。残念ながら、フリーランスの代わりはいくらでもいる、と考えられることも珍しくありませんので、競争の激しい中で勝ち残っていくには、基本的なことからきっちりとしておきましょう。
稼げるデザイナーになるためのポイント2:デザイン以外の庶務・雑務もきちんと行う
営業や打ち合わせも積極的に
先に挙げた通り、営業や経理、総務・雑務も一人で行います。打ち合わせはもちろん、仕事をとるための営業活動、事務所の備品管理等も自身で行うことになりますので、フリーランスとして長く続けていくためには地道に行っていきましょう。これらがどうしても嫌だという方は、フリーランスになると辛い思いをする可能性もあります。顧客との積極的なコミュニケーションが次の仕事の受注に繋がっていきますので、ぜひ頑張りましょう。
確定申告もしっかりと
信用を得るために、確定申告も毎年きちんと行いましょう。毎月の請求や支払いに加え、確定申告の準備も非常に細かく時間のかかる作業です。ただし、フリーランス向けのクラウド会計サービスや請求書作成サービスも多数出てきていますので、計算や数字を扱うことを苦手とする方は、こういったサービスを利用すると時間が節約出来て便利です。
稼げるデザイナーになるためのポイント3:健康管理、体力作りも仕事のうち
企業体に属していれば、万が一体調が悪くなったり、怪我をして入院した場合でも、同僚が業務を代わって進めてくれます。フリーデザイナーとして活動する場合、当然誰も代わってくれません。継続して仕事を得るには納期を守ることが重要だと述べましたが、納期を守るためには健康体を維持することも必要です。会社勤めのデザイナー以上に健康管理には気をつけましょう。
しかし、どうしても風邪を引いたり、突然事故に遭ったり、病気や怪我が避けられない時もあります。そういった場合に備えて、フリーランス専用の保険に入っておくと安心です。
まとめ:フリーデザイナーと企業勤めデザイナー。あなたはどっち?
以上、フリーデザイナーの仕事内容や年収、企業勤めとの違い、仕事の取り方と稼ぐためのポイントまで説明してきました。あとは、フリーデザイナーという生き方が自分に合っているかどうかを考えるだけです。
「約束は守る」、「デザイン以外の庶務もしっかり行う」、「健康管理に気をつける」という3つのポイントに気をつけて活動をしていれば、次第にクライアントが増え、平均年収やそれ以上の金額を稼ぐことも可能になるでしょう。
しかし、フリーデザイナーと企業勤めのデザイナーには、先に挙げたようにメリットとデメリットがそれぞれ存在します。特に、収入額の決まり方と時間の使い方、生活や仕事の安定性が大きく違うため、自分に当てはめてじっくり考えてみましょう。自分のライフスタイルがフリーランスに合っているという方には、生き方の選択肢のひとつにする価値は十分あります。
メリットもたくさんあるフリーデザイナーですが、会社員デザイナーのメリットにも魅力的なものがあります。あなたなら、どちらを選択するでしょうか?
参照:フリーデザイナーになる前に知っておきたいことを解説した記事はこちら
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