フリーランスの方が一番気になっているのが、将来に対する不安ではないでしょうか?サラリーマンとは違い、退職金もなく、将来受け取る年金も少ないなど不安な要素があります。そういった不安を軽減するために、政府は中小機構という独立行政法人を設立して、小規模企業共済という共済金制度を実施しています。この制度を利用するかどうかは別にしても、フリーランスであれば知識として知っておくべきことです。
この記事では、小規模企業共済がどういうものなのか知りたいフリーランスの方のために、制度の概要やしくみ、メリット・デメリットなどを説明していきます。小規模企業共済についてしっかり理解して、将来の安定・安心につなげていきましょう。
それではまず、小規模企業共済の概要から説明していきます。
小規模企業共済って?
小規模企業共済は、独立行政法人の中小機構が実施している共済金制度です。中小機構は、中小企業の企業や経営をサポートするために設立されました。小規模企業共済以外にもいろいろな支援を実施していますので、一度ホームページをご覧になるのもよいでしょう。
参考:http://www.smrj.go.jp/index.html
さて、それでは本題の小規模企業共済の概要を説明します。この共済金制度は、フリーランスの方の退職金の代わりになるようなものです。簡単に言いますと、毎月一定額(掛け金)を将来のために積み立てておき、廃業時や老後に積み立てた共済金を受け取ることができる制度です。積み立てた掛け金は運用されていますので、定期預金のように金利が付きますし、税制上のメリットもあります。そういった点につきましては後で説明します。
参考:http://www.smrj.go.jp/skyosai/index.html
加入条件
加入条件は業種などによって変わってくるのですが、常時雇用している従業員の人数が5人以下であれば加入することができます。フリーランスの方であれば、ほとんどの方がおひとりで事業をされているでしょうから問題無いでしょう。ただし、サラリーマンの副業として事業を行っている場合や青色事業専従者の方は加入することができませんのでご注意下さい。
掛け金
毎月の掛け金は、1,000円~70,000円までの間(500円単位)で自由に決められます。また、金額の変更はいつでも可能ですが、手続きにはしばらく時間がかかりますので、頻繁に変更するものではありません。掛け金の支払いは、口座振替のみになっています。クレジットカードなどは使用できません。掛け金を前納(前払い)すると、一定金額の前納減額金が受け取れますのでお得です。
共済金を受け取るタイミングと金額
積み立てた共済金を受け取ることができるタイミング(事由)は複数ありますが、それぞれ支払われる金額が異なります。また、払い込み年数が長いほど支払われる金額が多くなります。これは、払い込んだ掛け金が運用されているためです。年金と同じですね。
実際に支払われる金額は、(基本共済金)+(付加共済金)になっており、付加共済金は、運用の実績に応じて毎年の利率が異なりますので、事前にいくら受け取れるのか正確には計算できません。受け取りの方法は、条件によって一括受け取りか分割受け取りか選択できます。
共済金Aの場合
最も多くの金額を受け取ることができる場合です。支払事由は下記の通りです。
- 廃業した場合
- 事業を譲渡した場合
- 共済金加入者が亡くなった場合
共済金Bの場合
2番目に多い金額を受け取ることができる場合です。支払事由は下記の通りです。
65歳以上になった時点で180ヶ月以上掛け金を払い込んでいる
準共済金
払い込み年数によっては掛け金と同額の支払いになります。支払事由は下記の通りです。
個人事業主から法人になり、その法人の役員にならなかった場合
解約手当金
20年以上払い込んでいないと、受け取る金額が掛け金よりも少なくなってしまいます。支払事由は下記の通りです。
- 任意解約した場合
- 掛け金の滞納(12ヶ月以上)により解約させられた場合
- 個人事業主から法人になり、その法人の役員になった場合
メリット
小規模企業共済のメリットは2つあります。
掛け金が全額所得から控除できる
確定申告の際に、所得金額を計算することになりますが、この金額から小規模企業共済の掛け金を全額控除することができます。つまり、所得税や住民税、国民健康保険料などが安くなるということです。掛け金の金額を多くするほど節税効果が高まり、税金が安くなります。
払い込んだ金額よりも多くの金額を受け取れる
払い込んだ掛け金は運用され、受け取り時には払い込んだ金額よりも多くの金額を受け取ることができます。廃業や老後まで払い込みを続けていれば、老後の資金が確保できるので、退職金がないフリーランスの方でも安心した老後を送ることができるでしょう。
デメリット
一番のデメリットは、20年以内に解約してしまうと、払い込んだ金額よりも受け取る金額が少なくなってしまうことです。このため、安易に解約することができません。節税のためとはいえ、あまり多くの掛け金を払い込むことにないようにしましょう。急に資金が必要になった時のために、最低限の蓄えは残しておくことをおすすめします。
ポイント
小規模企業共済は、どちらかというと定期預金のようなものです。定期預金よりは長期の払込期間になりますが、そのぶん超低金利時代の現在としては遥かに高金利で預金ができることになります。しかも、所得から控除されますので、税金も減って2重にお得です。フリーランスの方で、定期的な積立預金を検討している方はこれを利用しない手はないでしょう。長期的な視点で検討してみましょう。
実際どれくらいお得なのか?
小規模企業共済を利用した時に、どれぐらいお得になるかは現在の年収や毎月の掛け金、脱退年月で変わってきます。中小機構のホームページ(下記URL参照)に、節税金額を簡単に計算できるシミュレーターがありますので、そちらで年収等を入力してどれぐらい節税になるか確認してみましょう。
参考:http://www.smrj.go.jp/skyosai/simulation/index.html
加入方法
加入する際には、確定申告書の控えもしくは個人事業主の開業届の控えが必要です。下記の参考URLからダウンロードできる書類を印刷、記入して、小規模企業共済を取り扱っている金融機関の窓口から申し込みを行います。
参考:http://www.smrj.go.jp/skyosai/join/index.html
小規模企業共済の現状と今後
2014年時点で、160万人以上の加入者がいます。もちろん、毎年加入者と脱退者が発生していますが、160万人前後で推移しています(中小機構ホームページより)。その中で、毎年5万人ほどの方が共済金を受給しており、年間5000億円以上が支払われています。2014年時点で、37.4%の小規模事業者数に対する在籍割合も今後も増加していく見込みです。
小規模企業共済のよくある疑問
最後に、小規模企業共済のよくある疑問を紹介します。
確定申告はどうすればいいの?
9月までに加入された方には11月下旬までに、10月以降に加入された方は翌年2月下旬までに「掛金払込証明書」が郵送されてきます。10月~12月分については預金通帳のコピーを取っておきましょう。確定申告書では「小規模企業共済等掛金控除」として所得税から控除することになります。記載する欄がありますので、その年に払い込んだ掛け金の合計を記載します。
受け取った共済金に税金はかかるの?
受け取った共済金は所得とみなされますので、税金を支払う必要があります。受け取る方法によって税制上の区分が変わってきますが、多くの場合退職所得として扱われますので、それほど多くの税金を支払う必要はありません。勤続年数2~20年の場合だと、退職所得控除額は勤続年数×40万円となり、それ以下の金額であれば税金はかかりません。年間40万円以下の掛け金にしておけば、税金はかからないと考えておけばよいでしょう。
まとめ
これからの人生設計をよく考えてみて、将来に向けてどのくらいの資産を蓄えることにするか検討してみましょう。毎月5,000円でもコツコツ積み立てておけば、老後の資産も違ってきます。余裕が出てきたら掛け金を増やしていけば良いので、まずは少額からでも積み立てていきましょう。あなたはフリーランスとしてどんな老後を送りたいですか?
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