税理士が教える税金講座! 【第4回】確定申告においてフリーランスが注意すべきポイントについて

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こんにちは、税理士の竹村直樹です。

第3回では、フリーランスの収入金額、必要経費について説明しました。

第4回では確定申告の提出に関する注意点などについて説明したいと思います。
それでは早速確認してみましょう。

なお、ここであげるフリーランスとは、2022年3月内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁、厚生労働省の連名で策定された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」で示されている「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義します。

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目次

1.フリーランスで確定申告が必要な人とは?

確定申告とは、個人の1年間の所得税を確定させる手続きです。
フリーランスの場合は原則確定申告が必要です。所得金額が所得控除以下の場合は確定申告が不要となりますが、青色申告の場合には、損失が生じた場合、翌年へ繰り越すためにも確定申告が必要です。

2.申告書の種類

通常の確定申告書の用紙の種類にはAとBがあります。
フリーランスのように事業所得などがある方は申告書のBを使用します。申告書のAはサラリーマンが医療費控除を受ける場合などに使用します。

確定申告Aのpdf

確定申告Bのpdf

3.申告書の提出時期

(1)提出期限

確定申告書の提出期間は翌年の2月16日から3月15日までです。
3月の15日が土日の場合には翌平日の月曜日となります。この間に提出された申告書を一般に期限内申告書といいます。

(2)期限に遅れた場合には

期限内に間に合わない場合であっても、なるべく早めに提出する必要があります。この期限後に提出される申告書を一般に「期限後申告書」といいます。
期限後申告の場合には、第2回で説明した青色申告特別控除が最大10万円までしか控除できません。

したがって65万円控除の申告書を作成し、期限内申告に間に合わなかった場合には、10万円に修正し提出する必要があります

また、期限後申告を行った場合には無申告加算税が課されます。
ただし、期限後申告であっても次の要件を全て満たす場合には無申告加算税が課されません。

ア.その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。

イ.期限内申告をする意思があったと認められる次の①及び②のいずれにも該当する場合

① その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。

② その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。

このように、期限を過ぎて申告した場合、上記のような不利益がありますので、期限を守って申告するようにしましょう。

(3)提出方法

確定申告書の提出方法は郵送による提出、持参による提出、e-taxがありますが、詳細については第2回を参照してください。

4.納付期限

(1)納付期限

ア.原則
所得税の納付期限は提出期限と同じ3月15日までです。ただし次項で説明する振替納税を選択した場合には4月中旬頃となります。

イ.振替納税
振替納税とは指定した口座から税額が自動的に引き落とされる制度です。
この制度を選択した場合には納期限が4月中旬頃になります。

振替日は国税庁のホームページや電子申告のお知らせで確認できます。
振替納税制度の申し込みには振替納税の用紙に必要事項等を記入し所轄の税務署または引き落とし口座の金融機関に提出する必要があります。

3月15日までに提出すればその前年の確定申告書から適用されます。
振替納税は納期限が1月程度延長され、自動的に引き落とされるため納付忘れが防止でき大変便利な制度です。

振替依頼書のpdf

なお、期限後申告の場合には振替納税により納めることはできません。

(2)期限内に納められない場合

フリーランスの場合、前回での説明のとおり、収入金額として計上すべき時期と入金時期が必ずしも一致しないため納期限に税金を納められない可能性もあります。

そのような場合には確定申告書の延納の届け出欄に記載し、確定申告により納付する税金の2分の1以上を納付すれば、残りの税額の納付をその年の5月31日まで延長することができます。
この場合には利子税が発生します(令和4年の場合には2.4%)。

延納の届け出をしない場合には利子税より利率の高い延滞税が発生します。

5.申告が間違っていた場合

確定申告書を提出した後に内容の誤りに気づいた場合は、訂正する必要があります。

期限内であれば正しい内容の申告書を提出し直せば、それが期限内申告書として受理されます。実務上、書面で提出する場合には申告書の上部に『訂正申告書』と赤で記載します。

電子申告で提出した場合にも、期限内で最後に申告したものが期限内申告書として扱われます。
提出期限後に訂正する場合には次の2つに区分されます。

(1)税金が多くなる場合など

税額を少なく申告していたり、還付金を多く申告したりしていたことなどに気づいたときは、「修正申告」を行う必要があります。この場合には申告書Bの1表と5表に記入します。
修正申告により納付する税額について申告期限(3月15日)から納付する日までについて延滞税が発生します。また、税務署から税務調査の通知があってから修正申告を行った場合には過少申告加算税が発生します。

申告書5表のpdf

(2)税額が少なくなる場合など

税額を多く申告したり、還付金を少なく申告したりしていた場合などには「更正の請求」を行うことができます。
更正の請求をする場合は、「更正の請求書」を提出する必要があります。更正の請求ができる期間には期限があり、原則として、その申告の法定申告期限(3月15日)から5年以内とされています。

税務署においてその内容が正当と認められた場合には還付されます。
また正当と認められなかった場合にはその旨が記載された書面が送付されます。認められなかった場合には、さらに不服申し立てができます。

更正の請求のpdf

6.申告方法のまとめ

申告の種類をまとめると以下のようになります。

§申告書の提出時期と種類

提出時期提出内容申告の種類
期限内に提出初めての申告期限内申告
2回目以降訂正申告
期限後に提出初めての申告期限後申告
2回目以降税額が増加する場合など修正申告
税額が減少する場合など更正の請求

§申告書を提出しない場合、修正申告書を提出しない場合には・・

確定申告書を提出すべき者が申告書を提出しない場合には税務署長の権限により税額を決定することができます。
このことを『決定』といいます。修正申告を行わない場合には、税務署長の権限により税額を決定することができます。このことを『更正』といいます。

7.ペナルティの種類

確定申告を間違えたり、遅れて納税・申告したりした場合には様々なペナルティ(附帯税)があります。ここでは確定申告に関連する附帯税についてまとめてみたいと思います。

(1)利子税

延納をした場合に発生する税金です。事業所得に対応する部分については必要経費に算入できます。

(2)延滞税

延納以外の場合で納期限までに完納できなかったときに発生する税金です。利子税より税率が高くなっています。

(3)過少申告加算税

期限内申告について誤りがあり修正申告等を行った場合に増加した税額に対し5%、10%、15%の税率で課されます。
税務署からの調査の通知を受ける前に自主的に修正申告を行った場合には課されません。

(4)無申告加算税

期限後申告があった場合に本税に対し15%、20%の税率で課される税金です。
過去5年以内に無申告加算税や重加算税が課されたことがある場合にはさらに10%が加算されます。

(5)重加算税

仮装・隠蔽等があった場合に課される税金です。
申告書を提出してある場合には35%、無申告の場合には40%の税率で課されます。過去5年以内に無申告加算税や重加算税が課されたことがある場合にはさらに10%が加算されます。

ペナルティの中でも特に税率が高いのは、仮装・隠蔽等があったときで、かつ過去5年以内に無申告加算税などを課されたことがある場合で、その場合の最高税率は50%にもなります。
ちょっとした不注意で元の1.5倍もの税金を払うことになってしまうので、注意が必要です。

まとめ

今回は確定申告に関する注意点を解説しました。

納付が遅れた場合、申告を間違えた場合など、余計な手続きや納税が発生してしまいます。
結論としては当たり前のこととなりますが、”正しく期限内に申告し、納付すること”が大切です。
そのためにも事前の準備が重要となります。また、誤りに気付いた場合には、そのままにはせず修正するようにしましょう。

次回はフリーランスにかかる所得税以外の税金について解説いたします。


※具体的な処理や手続きにつきましては、最寄りの税務署又は税理士にお尋ねください。
本記事により発生したいかなる損失も執筆者及び株式会社クラウドワークス並びに税理士法人高柳総合会計事務所は責任を負いません。

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この記事を書いた人

竹村直樹のアバター 竹村直樹 税理士

2009年 税理士登録
税理士法人 髙柳総合会計事務所の所属税理士として中小企業の決算・税務相談、会社代表者の相続・事業承継対策を中心に業務に携わる。
(社)ファルクラム租税法研究会研究員、(社)アコード租税総合研究所会員。

【主な著書等】
「墓地など嫌悪施設の存在により土地評価額に影響が生じる場合」税経通信72巻14号税務経理協会(2017)ほか。
共著
『税理士業務に活かす!通達のチェックポイント-所得税裁判事例精選20-』(酒井克彦編著・監修、2018第一法規)

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